第102話 骨は灰に
ファイアブランドの一撃がスケルトンの頭蓋を捉える。
剣に纏った炎がスケルトンの骨を炙り、灰へと変えていく。
触れた瞬間は硬質な抵抗を覚えたがすぐにファイアブランドの刃がサクッと突き立ちそのまま両断に成功した。
「おおっ!」
ファイアブランドは思った以上に使える。
ゴブリンにもかなり有効だったが、スケルトンには特効ともいえる威力を発揮している。
「すげえ」
俺はすぐに次のスケルトンへと向かい剣を走らせる。
今度は手に持つ剣で防がれたが、一旦引いてからスケルトンの腕を斬り落とした。
武器を持たないスケルトンは敵じゃない。
完全に無防備となった鎖骨から袈裟斬りにしとめる。
スケルトンは肉がないので、ゴブリンのように肉が焦げた嫌な臭いはしないかわりに、やはり煙はかなりのものだ。
肉と骨の違いなのか煙の色が若干違う気はするが、そこは大きな問題ではない。
このファイアブランドは屋外向きというか、炎により増したその攻撃力と引き換えにダンジョンでの集団戦への適正を完全に失っている気がする。
戦っている自分はまだいいが、近くで戦っている人にとっては邪魔でしかない。
「御門、すげぇな。ゴブリンもあっという間に倒したし、スケルトンにも圧倒的じゃないか」
「まあ、レベルが10を超えてるから、ゴブリンとかスケルトンくらいだったらな」
「そうなのか。やっぱり、ステータス持ちになったとしてもレベル1じゃダメなんだな」
「レベルアップできるなら高いに越した事はないな。だけど強いモンスター相手にはレベル10あってもやばい時もあるから深追いは厳禁だ」
「あ〜御門がカッコよく戦ってるの見たら俺も早くステータス持ちになりたいよ」
「ごめん。次こそ岡島の出番だから」
残念ながらスケルトンのドロップは何もなかったので、ゴブリンを求めてダンジョンを進む事にする。
しばらく歩くとすぐに次のモンスターと遭遇した。
「すまん、岡島」
「いいって.こればっかりは運みたいなもんだし」
1階層で1番遭遇率が高いのは間違いなくゴブリンでその次にスケルトンのはずだが、運が悪いのか、現れたモンスターはスケルトン。
今回も岡島の出番はない。
スケルトンが5匹か。
「御門、私も戦おうか?」
「じゃあ、そっちの1匹をまかせていい?」
「わかった」
三上さんに1匹をまかせて、残りのスケルトンへと突っ込んでいく。
スケルトンとはいえ、囲まれると対処しきれなくなるので、一度に複数を相手取ることがないよう4匹の位置を確認しながら1匹目のスケルトンと交戦に入る。
先程の戦闘同様にファイアブランドを振るいスケルトンの骨を灰に変え消失させていくが2匹目を葬ったところで異変が起きた。
「ゴホッ、ゴホッ」
「英美里!」
やばい。三上さんが煙に巻かれて怯んだ所をスケルトンが攻め立てている。
「どけえぇえ!」
すぐに助けに入ろうとするが、新たなスケルトンが俺の行手を阻んでくる。
「御門くん、わたしも出るから!」
三上さんのところに向けて神楽坂さんが走ってくるのが見えた。
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