第101話 やりすぎた

「あ〜目にくる。しみる〜」


ファイアブランドを振るい、煙立ち込める中5匹のゴブリンを危なげなく灰へと誘う事に成功した。

油断は禁物だが、俺のステータスにこのファイアブランドではゴブリンは相手にならなかった。

5匹いたゴブリンもあっという間だった。

ただ煙が目に入り涙が出てくるのと、吸い込むと咳き込みそうになる。


「御門……」

「うん?」

「御門、俺の出る幕なかったんだけど」

「…………」

「緊張マックスで、狙いを定めてたんだけどノーチャンスだった」

「岡島、すまない。初めて使う武器に気を取られて調子に乗った。次は絶対だから。な!」

「ああ、俺は無理にお願いしてる方だから何も言えないけど、頼んだぞ」

「まかせとけ」

「御門、やりすぎ。それに煙が凄すぎない? それにこの匂い夜に肉とかは遠慮したい感じね」

「うん」


言葉もない。

次こそは岡島がゴブリンをしとめられるように、俺がしっかりとしなきゃな。

岡島のなんとも言えない表情が目に入るが、ステータスさえ生えてしまえばこんなのは笑い話で終わることだ。

とりあえずその場に落ちている魔石を拾う。


「岡島、これが魔石だ」

「宝石みたいだな。でも5匹いたのに一個だけなんだな」

「ああ、ドロップはランダムっぽいな。これ一個で1万5千円くらいだ」

「これ一個で1万5千円か.俺にとったら大きいけど、ゴブリン相手に命張ってって考えると安いな」


本来の目的を果たすため、ダンジョンを先へと進む。

ただ、こんな時に限ってモンスターが現れない。

普段は溢れるほどにいるゴブリンを探すのにこんなに手間取るとは想定外だ。


「御門くん、あれ」

「あ、あ〜」


ようやくめぐり逢うことができたモンスターはゴブリンではなくスケルトンだった。


「御門、あれってスケルトンだよな」

「ああ、そうだな」

「それじゃあ、あれにとどめをさせばいいのか?」

「う〜ん、岡島の武器じゃな〜」


スケルトン相手にボウガン系の武器は効果が薄い。

今この場で新しい武器を渡してもいいが、それは飛躍的にリスクが跳ね上がることを意味している。

せっかく、俺たちが一緒に来ているのに、それじゃあ意味がない。


「岡島、次にしよう。あれは俺たちでやるから。倒すなら絶対ゴブリンがいい」

「そ、そうか.御門がそういうなら。それにしても、本当に骨が歩いてるんだな」


俺はファイアブランドを構えて、スケルトンへと駆ける。

スケルトンの動きは鈍い。

ファイアブランドを振り上げ、スケルトンの頭部にお見舞いする。

ゴブリンへと高い効果を見せたファイアブランドの炎はスケルトンへも効果絶大だった。

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