第79話 向日葵ってすごい
それから何発か撃ってみて、どうにか的に当たる様にはなってきた。
ただし、これは止まっている的にしっかりと狙いをつけて撃った場合だ。
正直動いているモンスターに動きながら当てる自信はないが、これ以上練習を重ねると弾が無くなってしまいそうなので、このあたりで切り上げる事にする。
「そろそろ戻ろうか」
「お兄ちゃん、もうやめるの? 私も試しに撃ってみてもいい?」
「え!? 向日葵も撃つのか?」
「お兄ちゃんがやってるのみたら、私もやってみたくなっちゃった」
普通に考えてセイバーでもない中学生の向日葵が銃を扱うのは問題がある気がするが、俺たちと一緒にダンジョンに潜っている以上危険はある。
なにが起きるかわからないし、今練習しといて無駄にはならないか?
むしろ俺のいるところで練習しておいてもらった方が安心かもしれない。
多少の抵抗感はあるものの、世界を取り巻く現状はそれを軽く上回っているので向日葵にも練習してもらう事にする。
「わかった。だけどしっかり両手で持って絶対に人に向けちゃダメだからな」
「そんなの当たり前でしょ。お兄ちゃん私のことなんだと思ってるの?」
「いや、わかってるならいいんだ」
俺は慎重にSFP10を手渡す。
「重〜い。これが銃なんだ。これをこうやるんだよね。うんわかった。それじゃあ撃ってみていい?」
「ああ、最初は当たらないと思うから焦らず慎重にな」
「わかってるって。それじゃあいくね」
『パア〜ン』
向日葵は手に持った銃で狙いをつけると、躊躇する事なくトリガーを引いた。
「……」
「お兄ちゃん、当たっちゃった〜。これ結構楽しいかも」
「あ、ああ」
「もう一回やってみてもいい?」
「あ、ああ」
「それじゃあいくね〜」
『パア〜ン』
「楽し〜ぃ。コツがわかったかも」
「あ、うん」
嘘だろ。
確かに向日葵もステータスが発現しているので銃を撃つのに十分な力はあると思うけど、初めて撃ってなんで当たるんだ?
俺は結構撃ってみてようやくだったのに、なんで向日葵はあっさり当てる事ができてるんだ。
向日葵すごくないか?
そもそも銃って初めてで的に当たったりするものなのか?
比較対象がなさすぎて、俺がダメなのか向日葵がすごいのかいまいちよくわからない。
ただひとつわかった事がある。
実際に戦いの場ではこのSFP10は向日葵が使った方が有用なのは間違いない。
普段から持たせるようなものではないのでガチャのストックに戻しておいていざという時には向日葵に渡そうと思う。
ちなみにこのSPF10は1日経過してもスマホの表示から消える事はなかった。
やっぱり妖精さんは生き物だったから消えてしまったようだ。
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