第77話 SFP10
「お兄ちゃん……」
「ああ、 SFP10って栄養ドリンクの略じゃなかったのか」
完全に俺の予想は外れてしまった。誰がこれを予想できただろうか。
俺は目の前に現れたそれを恐る恐る手に取ってみる。
「重いな」
それは、冷たくそして見た目以上に重量がある。
「本物……だよね」
「たぶん」
実物を見るのは初めてなので、本物かどうかの判断はつかないが触った感じおもちゃとも思えない。
なんとなくだがテレビなんかで見た事あるので使い方はわかる。
グリップを持ち構えてみる。
実際に構えるとかなり大きい。
「お兄ちゃん、それ撃てるの?」
「いや、これここで撃ったらやばいって」
「そうだよね。弾って入ってるの?」
「これが弾じゃないか?」
俺の手には銃と思しき武器らしきものが握られており、それとは別に弾らしきものが入った小ぶりの箱があった。
どうやら『SFP10』というのはこの手にある銃らしき武器のことだったらしい。
今までも、剣に類する武器はいっぱい出たが、飛び道具はボウガンくらいだった。
まだ、剣やボウガンはなんとなく馴染みがあったが、銃は完全に別世界のものに感じてしまう。
箱の中の弾を確認するが60発あるようだ。
弾だけ買いにいけるような代物ではなさそうなので、つまりはこの銃は60発限定の武器って事だ。
60回しか使えないとも言えるが、本当にこれがリアル銃なのだとしたらその1発1発がモンスターであっても致命傷足りえるダメージを与える事ができるはずだ。
あの赤茶色のガーゴイルであっても、銃の弾を避けるなんて事は出来なかっただろうし、命中すれば致命傷を負わせることも可能だったかもしれない。
ヤバい……
そう考えると、妖精さんには感謝しているが妖精さんよりずっと有用な当たりなんじゃないのか?
いや待て。
妖精さんは消えてしまった。
もしURの賞品が全て時限だったとしたら、もう少しすれば消えてしまう可能性もゼロではない。
その可能性があるなら早く使ってしまった方がいいのか。
「お兄ちゃん、どうするつもり?」
「今からダンジョンに潜ってくる!」
「お兄ちゃん、ダンジョンに1人で潜るつもり?」
「いや、それは……」
「も〜しょうがないんだから。わたしも一緒に行ってあげる」
「向日葵!」
ああ、やっぱり向日葵は俺のかわいいかわいい妹だ。
天使級だ。
「見たいテレビを我慢して付き合ってあげるんだからね。そうだ、お兄ちゃん、この前かわいいワンピース見つけたんだ〜」
「任せとけ.お兄ちゃんが買ってやるから」
「お兄ちゃん大好き〜」
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