第57話 漢
先行するグループに声をかけるべきか迷ったが、スルーするのも失礼に当たるかもしれないと思い一応声をかけてみた。
「こんにちわ〜」
「ああ、他のグループもいたのか」
「はい、さっきの戦闘を見させてもらいました。流石にこの人数で戦うと迫力がありますね」
「まあ、第二層くらいならな。お前らは4人なのか? 見たところ結構若く見えるが、学生か?」
「はい、俺は高校生でこっちは中学生です」
「中学生!? いわゆるスクールセイバーか」
「わたしはセイバーじゃないですけどね」
中学生のセイバーもいるとは思うけど、やっぱりダンジョンに中学生が潜ってるのは珍しいよな。
「しかも女の子が3人と男が1名か。ふ〜、うちは全員男なのにな。こんな時代になっても神様は不公平なんだな。女の子の応募なんか1人もいなかったぞ」
「いやヒロト、時代も神様も関係ない。俺が高校の時代でもアオハルなんか無縁だったんだから」
「そうだな。まあいいだろう。ところでそっちはどこまで潜るんだ?」
「俺たちはこの2層までです」
「そうか。4人じゃ無理しない方がいいだろう」
「そちらはどこまで?」
「今は4層まで到達してるぞ」
「4層! すごいですね」
「ああ、一刻も早くダンジョンを攻略したいからな」
「やっぱり4層の敵は強いんですか?」
「そうだな.この数いても気を抜くとやられる。4人なら尚更だ。まだ若いんだから無理するなよ」
「はい」
そう言うと、先行グループは先へと進んで行った。
「御門くん、さっきの人達凄かったね」
「ああ、クランなのかグループなのかはわからないけど、俺たちよりだいぶん先に進んでるのは間違いないな」
「でも男の人ばっかりだったわね。私はあのグループじゃちょっと無理かも〜」
「そうですね。独特の雰囲気がありましたね。わたしも無理です」
先行グループは全員俺たちよりも年上に見える男性ばかりのグループだったが、三上さん達の評価は微妙だったようだ。
「だけど第4層まで行ってるみたいだから、かなりレベルも高いんじゃないか」
「そうかもだけど、なんて言うか漢くさい感じが、ちょっと苦手〜」
「あ〜わかります〜。なんかムワッとした感じですよね〜」
「そうそう。地上ならまだいいけど、ダンジョンじゃね〜」
「それは、わかる気がするな」
「神楽坂さんまで……」
どうやら男性の集団特有の熱気というか漢くささがダメらしい。
個人的には結構憧れたりするが、ダメなのか。
俺もこのメンバーでやっていくと決めた以上方向性を間違えないようにしないといけない。
とりあえず目指すべきはさわやか系だろうか。
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