第53話 スケルトン戦

アニメではスケルトンの動きは鈍い事が多いが、今目の前にいる実物は速い。

ゴブリンと遜色ないスピードで更には剣を振るってくる。

そしてゴブリンに有効だったボウガンが全く役に立たない。

自ずと俺の出番が増え、2匹のスケルトンを同時に相手する事になっているが、レベル8となった俺のステータスは2匹の攻撃もどうにか捌く事ができている。

ただ目の前を本物の剣が横切っていくのは、その度に身体が竦んでしまいそうになるが、無理矢理動かし避けて切り返す。

そして1番の問題はゴブリンと違い、鬼切丸で切断し切る事が出来ない。

スケルトン相手では鬼切丸の本来の力を発揮し切る事が出来ないのか、骨に食い込みはするが断ち切る事ができない。

それでも迫るもう1匹のスケルトンの攻撃を躱す為、無理矢理ねじ込んで刀を抜くが抜いた瞬間『ビキィ』という異音が聞こえ根本から刃が折れてしまった。


「ああっ」


想定外の事態に唖然としてしまったが、どうにか気持ちを切り替えて風切り丸で、迫るスケルトンの首を刎ねるがやはり風切り丸を持つ手にも硬質な感覚が伝わってくる。

明らかにゴブリンの骨よりも硬い。


「お兄ちゃん!」


俺が苦戦しているのを見て向日葵が『グラビティ』でフォローしてくれる。

動きを止めたスケルトンに斬りかかり消滅へと追いやり、すぐに次のスケルトンへと走る。

三上さんと神楽坂さんもスケルトンをそれぞれ相手にしているが、完全に押し込まれているので、すぐに俺も参戦して、背後から斬りつけ順番に倒していく。

みんなの頑張りもあり、どうにか5匹のスケルトンを倒し切る事ができたが、俺の手にある風切り丸を見ると刃がボロボロになっており、刀としての役目を終えたのがわかる。

スケルトン5匹を相手取るのにメインの武器2本が使えなくなってしまった。

それは他の3人も同様で使っていた剣が明らかにダメージを受けていた。

舐めていたわけではないが、ゴブリン相手にそれなりにやれていたので、自分の成長を感じつつここまで進んで来たが、スケルトンのやりづらさはゴブリンの比じゃなかった。

俺はすぐにスマホをタップしストックから武器を取り出してみんなの武器を換装するが、先程の戦いで武器だけではなく、精神力も消耗してしまったのでこのまま引き返すこととなった。


「スケルトン強いな」

「私、多分一対一なら負けてる」

「私も押されてたから」

「自分で戦いながら、スマホをタップしてスキルを発動するのは無理。誰かが抑えてくれてないとダメみたい」


確かに近接戦をこなしながらスマホをタップしてスキルを発動するのはかなり厳しい。

今は全員であたっているが、相手によっては役割を決めて対応する必要が出てきた事を痛感させられてしまった。

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