第49話初めてのダンジョン

「ダンジョンってこんななんだ」

「もっと暗いのかと思ってました」


確かに地下にあるのでかなり薄暗いのかと思い懐中電灯も人数分用意していたが、どうやらその必要はなさそうだ。

地上よりは少し暗いが、夕暮れ前くらいの感じで慣れれば十分動ける。

どうにも不思議だが、床や壁が微妙に光を発しているような気もする。


「お兄ちゃん、これからどうやって進むの?」

「一応ちゃんと調べといた。マッピングしないと迷ったりするらしいから、このノートにマッピングしていきたいんだけど、誰か頼める?」

「補助しかできないのでわたしがやります」

「じゃあ神楽坂さんお願い」

「はい」

「マッピングしながら徐々に進んでいこう。それともしかしたら罠とかもあるかもしれないから、むやみやたらと突っ込んだりはしない事」

「それはお兄ちゃんじゃない?」

「そ、それは……みんな気をつけよう。それと突然後を取られるとまずいから隊列を決めて後ろの人も前だけじゃなく後ろにも気を配っていこうか」

「御門、初めてにしては手慣れてない?」

「そうかな」

「だって今日に備えてスマホでネットばっかりしてたもんね」

「向日葵、それは言ってほしくなかった」

「ふふっ、どうりで詳しいと思った。でも私も結構調べたから一緒よ」


向日葵に暴露されてしまったが、準備できる事といったらネットで情報を漁るくらいなので出来る限り調べておいた。

今回の装備は俺は風切り丸、向日葵と三上さんに剣を渡し、神楽坂さんはボウガン。

俺のスマホの中に何本か予備の剣をストックしてある。


「これ、昨日でたんだけど神楽坂さんが持っておく?」


そう言って俺は青色の透明な液体が入った小瓶を取り出す。


「御門くん、これは?」

「これは、昨日初めて『レアガチャ』で出た低級ポーション。多分、傷が治ったりするんだと思う」

「わたしは『ヒール』が使えるからもしもの時のために他の人が持っておいた方がいいと思う」

「それじゃあ三上さんに持っておいてもらおうか」

「御門、これって飲むの? それとも振りかければいいの?」

「よくわからないけど飲んだ方が効きそうじゃないか」

「これ、かなり青いけど飲んで本当に大丈夫?」

「今まで『ガチャ』で出た物食べてあたった事はないから多分大丈夫」

「ふ〜ん、賞味期限とかあるのかな」

「記載はないから、1週間とかなら大丈夫だと思うけど」

「できれば1週間以内に怪我とかしたくないし、使わないで済んだら1番ね」

「たしかに」


探索の並びは相談の結果、俺を先頭に向日葵、神楽坂さん三上さんの並びで進む事にしたが、初めての探索で緊張してしまい、少し進んだだけで隊列は崩れてひとかたまりになって進む事になってしまった。

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