第48話 ダンジョン

サードブレイクから程なくしてセイバーに対してダンジョンに入る事が特に推奨されるようになった。

理由は、出入り口が複数となり地上への氾濫を完全には防ぐ事が難しいと判断されたため、根本的な解決にはダンジョン内のモンスターの数を減らすしかないと考えられたためだ。

今まで通り自衛隊は活動しているが、それだけでは手が足りなくなったというのが本当のところだろう。

ダンジョンで活動するセイバーのメリットは大きく2つ。

定期的にモンスターを倒せる環境にあるので、ダンジョンで定期的にレベルアップが見込める。

そしてもうひとつは、モンスターが落としたドロップを買い取ってもらえる事。それによる収益のアップが見込める。

そして俺はもちろんダンジョンへと潜る事にした。

あの日誓った『強くなる』を実践する為に。

始めはソロで潜る気でいたが、向日葵達がそれを許してくれなかった。


「お兄ちゃん、1人だと死んじゃうよ? あの時だって、1人で突っ込んで行って、私達がいなきゃ帰ってこれなかったでしょ」

「そうです。御門くん。わたしの『ヒール』無しでは生き残れませんでした」

「御門は状況判断が甘いんじゃない? なんか自分を犠牲にしても他の人を護るみたいなところあるし」


三人の言葉は、真実を突いていて言い返す事はできなかった。

その結果、なぜか四人でダンジョンに潜る事になってしまった。

特に向日葵達がダンジョンに行くことには猛然と反対させてもらったが、あっさりと却下されてしまい、その週末から早速四人でダンジョンに潜る事になってしまった。

ダンジョンに入るには、入る前に受付で登録すればセイバーが一緒なら誰でも入れる。

自衛隊やセイバー以外の人が入る事は、あまり想定されていないようだが、国のスタンスとしては1人でも多くの人にモンスターを間引いて欲しいというのがあるからか、セイバー同伴以外は特に規制されていない。

但し、入るからには全てが自己責任。

怪我はもちろん、命を落としたとしても一切補償されない。

そんな所に向日葵達を連れて行きたくはないが、モンスターは待ってくれない。

また同じ状況に陥った時に今のままではまずい。

なので不本意だが、今日から四人でダンジョンへと潜る事にした。

元々俺達の生活圏の近くにダンジョンはなかったが、今回のサードブレイクでショッピングモールに近い場所に出入り口ができてしまっていた。

ここからあのゴブリン達が湧き出てきたらしい。

それはあれだけの数のゴブリンがダンジョンに潜んでいる事を意味しているので、慎重を要するのは間違いない。

まさか無いとは思うが四人で潜って100を超えるゴブリンに囲まれたら一巻の終わりだ。


「それじゃあ、三人とも準備はいい?」

「お兄ちゃん、もう慎重すぎ」

「私もバッチリ」

「大丈夫です」


こうして俺達は初めてダンジョンへと足を踏み入れた。

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