第36話 籠城2
「私はこのモールのマネージャーをしております、新田と言います。今このモールの周辺でモンスターの群れが発生しています。詳しい事は分かりませんが、ニュースによるとここだけではなく、おそらくはサードブレイクが起こったものと思われます。つきましては安全の観点から当モールの出入り口を閉鎖。裏の搬入口はシャッターを閉め切りました。ネットも電話もつながりにくい状況で不安だと思いますが、救援が来るまでこのモール内で過ごしてください。幸いにもここには売るほど食料もありますので快適に過ごしていただけると思います」
「外は、外はどうなってますか?」
「一階は外から見えてしまうので、3階のガラス越しに確認してもらえば分かりますが、酷いものです。もちろん逃げ切れた人もいるとは思いますが」
「そんな……」
「救援はいつ来るんだ」
「すいませんが、分かりません。恐らくここだけではないと思われるので」
「ここは本当に大丈夫なのか?」
「モールですのでガラスも耐久性はあると思いますが、相手はモンスターですので大丈夫とは言い切れません。もしどうしても出たいという事でしたら裏の通用口を案内させていただきます」
「……わかった」
新田さんが迅速に対応してくれてはいるが、この人数だ。
まとめるのは簡単ではなさそうだ。
それより、どうにかこのモールを護り切らないと。
今日は土曜日なので家族連れも多く小さな子供も多い。
子供が襲われたらひとたまりもない。
本当はこんな役目俺には重すぎるけど、今はやるしかない。
「すいませ〜ん。俺はセイバーの能瀬です。この中に他にセイバーもしくはスキルホルダーの方はいらしゃいませんか?」
俺は新田さんの隣に立ち周囲を見回すとしばらく間があって何人かの人の手がパラパラと上がる。
最終的に手をあげたのは10名。
俺を含めると11名か。十分とは言えないがこの人数で護り切るしかない。
向日葵が、顔を近づけて小声で話しかけてくる。
「お兄ちゃん、私は?」
「向日葵は最後の砦だ。いざとなったらみんなを連れて逃げろ。逃げ道は俺がなんとかするから」
「わかった」
いつもは勝ち気な向日葵だがさっきの光景を見たら、そうはいかないのは当たり前だ。
いくらスキルがあって強くてもまだ中学生。矢面に立たせるわけにはいかない。
早速スキルホルダーの10人に集まってもらい今後の事を話し合う。
10人のうち6人がセイバーで、戦闘経験ありだった。
俺に過剰な正義感は無い。
俺にとっての最優先事項は向日葵、神楽坂さん、三上さんの3人と俺の命。
どうにか4人が生き残れればそれでいい。
自分でも小さいなと思うが、今はそれでも俺の手には余っていつこぼれ落ちても不思議では無い。
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