第34話 サードブレイク
目の前では、3人が楽しそうに服を選んでいる。
なぜか三上さんと神楽坂さんは俺にどの服が好みか聞いてくれるが、2人のセンスがいいのか正直どの服も好みなので返事に困ってしまう。
向日葵を含めて3人ともかわいいのでこういうのを眼福というのだろう。
「え、なに?」
「地震!」
「きゃあああ」
俺が大満足の時間を過ごしている最中、突然地面が揺れ始めた。
揺れは収まるどころか徐々に大きくなっている気がする。
「お兄ちゃん、これヤバいんじゃ」
隠れる場所も無い状況にどうしていいか判断がつかない。
『ドオオオオン』
次の瞬間、ショッピングモールの床が抜けたかと思うほどの縦揺れと衝撃が襲ってきて、俺以外の3人がその場に転んでしまったので、必死に足を動かして、3人を抱き抱えるようにその場に伏せる。
お店の照明も激しく揺れ、陳列に並んだ商品が落ち、あちこちでガラスの割れる音が聞こえてくる。
そしていたるところで悲鳴が上がっている。
しばらく揺れに耐えていると徐々に収まってきて、どうにか立つ事ができる程度にはなってきた。
「地震だよな。津波とか大丈夫かな。完全に震災クラスの揺れだと思うけど」
「御門くん、庇ってくれてありがとう」
「御門ときててよかった」
「俺はなにもできてないけど、とりあえず表がどうなってるか気になるから外が見える場所に行きたいんだけど」
「そうだね」
これだけの揺れだ。父さんと母さんも無事か心配だが、当然電話は繋がらない。
早く出たいがモールのお客さん達も同じ事を考えたのか、出口に向け人が殺到しており、今向かうのはまずい。
俺1人ならどうにかなるが4人で向かうのは危ない。
とりあえず、人混みを避けて外が見える場所を探すことにする。
「お兄ちゃん、あそこならガラス越しに見えるんじゃない」
俺達は急いで外を見てみる。
「な……なんで。どういう事だ」
「お兄ちゃん、あれってモンスター?」
「うそ……」
「なんであんなに……」
ここから見る限り、周辺の建物で大きく被害を受けた様子はない。
無いが明らかにおかしい。
かなり距離があるはずなのにそれでもわかってしまう。
路上にモンスターがいる。
しかも1匹2匹じゃ無い。
そこには数十匹、もしかしたら百匹単位のモンスターが群れていた。
予想をはるかに超えたその光景に頭の理解が追いつかない。
「御門くん、あれって」
「間違いなくゴブリンの群れだ」
「お兄ちゃん!」
モールから流れ出た人に気づいたゴブリンの群れが向かっていくのが見える。
数は圧倒的に人の方が多いが、モンスターの群れを前に大混乱に落ち入り、四方散り散りとなり逃げ惑う。
ゴブリンが逃げ惑う人に襲い掛かる。
「御門……」
「くそっ、どうなってるんだ」
なにがどうなっているのかわからない。
今まで一度もこんな事はなかった。
「お兄ちゃん、もしかしてこれってサードブレイクなんじゃ」
「サードブレイク!?」
お願い
昨日発売のHJ文庫モブから始まる探索英雄譚6を買っていただいた方ありがとうございます。
店頭でも多くの方に買っていただいたようでありがとうございました。
まだの方は是非よろしくお願いします。
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