第26話 ヒーローは遅れてやってくる?
岸田も大前もやられてしまった。
そして俺もすぐには動けそうにない。
本当にもう手がない。
詰んだ。
だけどまだ諦める事はできない。
俺は必死に身体を起こし、剣を支えに立ちあがろうとするが、俺の動きを見て再びガーゴイルが動き出そうとしているのが見える。
表情の薄いその顔が自らの勝ちを確信しているように見える。
こうなったら刺し違えるしかない。
ガーゴイルの突進を剣の先を上げ迎え撃つ。
そう覚悟を決めて足と腕に力を込めるが、その瞬間地面から荊のような植物が生えてきてガーゴイルの脚に巻き付いた。
一瞬何が起こったのか理解することが出来ずただその光景に見入ってしまった。
「今です! とどめを!」
後方から女の子の声が聞こえてきて、そこでようやく俺は事態を理解する事ができた。
この学校には3人のセイバーがいる。
3人目の女の子。
この攻撃はまず間違いなくその子のスキル。
「ギェエエエエア」
ガーゴイルが足下の荊を引きちぎろうと力を込める。
今しかない。
ここでやらなきゃもうチャンスはない。
身体は痛むが、必死に脚を動かし手に持つ剣を振るう。
そもそも俺はまともな剣術を習ったことなどない。
技なんかない。
ステータスを極限まで絞り出し、左右の腕を必死で振り続ける。
「おおおおおああああ!」
残る体力を全てつぎ込むつもりでガーゴイルを切り裂き続ける。
「もう、死んでます」
後方から女の子の声が聞こえ俺は腕を動かすのをやめる。
俺の前方ではズタズダになったガーゴイルがその姿を消失させた。
「お、終わった……」
どうにか勝った。
ギリギリ、というよりもほぼアウトだったと思うがガーゴイルに勝った。
セイバー3人と俺の4人がかりでどうにか勝てた。
いや、最後の彼女による助けがなければ、完全に負けていた。
俺はその場にへたり込みながら、後方にいるであろう3人目のセイバーに視線を向ける。
そこにいたのは小柄な女の子。
淡い栗色の長い髪とクリッとした大きな目が特徴的なかわいい女の子が立っていた。
「フォロー助かったよ。ありがとう」
「いえ、倒せてよかったです。ところでさっきのモンスターはゴブリンではないですよね」
「多分、ガーゴイルだと思う。誰かがそう言っていたから」
「ガーゴイルですか! よく勝てましたね」
「いや、本当。よく勝てたよ。君はセイバーなんだよね」
「はい、セイバーの野本紬です」
「ああ、俺は能瀬御門」
「あなたも、セイバーなんですよね」
「いや、俺はセイバーじゃない。セイバーはあそこで伸びてるあの2人」
「え、じゃあ、あなたは?」
「はは……たまたま居合わせた一般生徒?」
「一般生徒は両手でそんな剣を振り回せないと思いますよ」
「確かに、言えてるかも」
お詫び
間違えてモブからを投稿してました。
最新話に差し替えました。
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