第22話 ガーゴイル
廊下から窓越しに外を窺うが、向かって来ているその姿がはっきりと見えるようになってきた。
その姿はやはりモンスター。
距離感ではっきりとしたサイズはよくわからないが、土色の皮膚のモンスターが背中の翼を動かし向かってきている。
「あれってまさかガーゴイルじゃ」
クラスの誰かの声が聞こえてくる。
ガーゴイル? 名前だけは聞いたことがあるが、あれがガーゴイル? よくわからないがゴブリンよりもかなり上位のモンスターなんじゃないのか?
その姿がどんどん近づいてくる。
もう間違いない。
完全にこちらを目指して向かって来ている。
「大前! お前のスキル『ウィンドブラスト』なんだろ! 撃ち落とせ!」
なぜか大前は動こうとしなかったので思わず声をかけてしまった。
「あ、ああ、わかった」
大前が俺の声に急かされ慌てて手に持つスマホの画面をタップする。
目には見えないが、大前のスキルが発動し真っ直ぐ向かって来ていたガーゴイルを捉えたようでガーゴイルが一瞬空中で弾かれたようにバランスを崩すが、すぐに立て直しまたこちらに向かってこようとする。
「ギイエエエエエエエエ」
「クソッ、落ちろ! 落ちろよ!」
大前が再びスキルを発動したようでガーゴイルがバランスを崩す。
風のスキルは見えない分避けられにくい。
威力が足りないのか大きなダメージにはなっていないようだが、大前のスキルはかなり有効に見える。
このまま大前が手数で押し切ればいけるか?
「チクショオオオオ〜!」
大前の絶叫と共に三度ガーゴイルがバランスを崩したが、すぐに体勢を立て直しこちらへ向かってくる。
「ギエエエエエエ」
何度か攻撃を受けたことで興奮しているようだ。
「おい、大前! 来てるぞ!」
急速に近づいて来ているのに何故か大前がスキルを発動するのをやめてしまった。
「ない」
「なんだって?」
「もうスキルがない」
「え!?」
衝撃の事実が判明してしまった。大前はさっきの三発でスキルを使い切ってしまったらしい。
確かに向日葵もレベル1ではひとつのスキルにつき使える回数は3回だった。
シングルスキルならもう少し回数が多いのかと思ったがそうじゃないのか?
もしかして大前はレベル1のままだったのか?
いずれにしてもやばい。
大前が攻撃した為に、完全に大前をターゲットにして向かって来ている。
「大前! 逃げろ! ガーゴイルはお前を狙って来てるぞ!」
「そんな……ひぃ……」
『ドガアシャアアン』
ガーゴイルが校舎の窓枠を突き破り教室の中へと飛び込んできた。
でかい。
飛んでいる時は分からなかったが、こうして間近にみるとゴブリンと比べると遥か大きい。
チンパンジーとゴリラくらいの違いがある。
このままじゃやばい。
「みんな! 逃げろ!」
みんなに逃げろとは言ったものの、こんな翼を持ったモンスターから逃げる事は可能なのか。
教室のガーゴイルを間近にすると全身が総毛立ち冷や汗が流れる。
お知らせ
川底に落ちたスマホは無事でしたが、作者は右手のひらを激しく切ってしまい救急病院で縫合してもらいました.合わせて破傷風の注射も打ちました。
皆様も、スマホ共々落水には注意してください。
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