第19話ガチャの景品
なんとなくあれからというもの三上さんと神楽坂さんに話しかけられる機会が増えた気がする。
俺的にはかわいい女の子が話しかけて来てくれて単純に嬉しいのだが、なぜか大前が恨みがましい視線を送ってくるので、それだけはやめて欲しい。
俺はなにも悪くないんだから。
向日葵とゴブリンを3匹倒してからはモンスターと遭遇する事なく生活できている。
そして毎日2回ガチャを引き続けている。
基本食料と武器、たまに日用品という感じで当たる。バリエーションは結構豊富なので被る事はあまりないのだが、ひとつ問題がある。
当たった景品はスマホに文字情報として表示されるのだが、放っておくと六日目に消えてしまうのだ。
放置して初めて表示が消えてしまった時のショックは計り知れないものがあった。
タップして受け取りさえすればずっと残るのだが肉1KG当たるように、結構量が多いので、最初の頃は良かったが家族4人で食べ切るには多すぎてダボついてきた。
SDG’sが提唱されるこの時代に、捨ててしまうのも忍びないので我が家では冷凍庫を買い増して対応しているが、これもいずれ限界を迎えそうだ。
そしてそれよりも問題が武器だ。
最初は両親と妹にも配って喜ばれたが、基本2本以上はいらないと言われ、俺自身も何本もはいらない。
そのせいで家にはナイフなんかが売るほどある。
このまま増え続けると完全に不審者の家みたいになってしまう。
足がつきそうでネット販売も控えているが、いずれはお世話になる以外道はないかもしれない。
放置して消去する道もあるにはあるが、やはり勿体無い。
そして最近家族に迷惑をかけ気味だが、やはり引ける以上は引かないという選択肢はないのできっちり毎日2回引いている。
「今日は……すっぽん!?」
これは当たりなのか?
すっぽんなんか食べた事ないし多分母さんも調理した事はないと思われる。
確かに高級食材。
元気も出るかもしれないが、すっぽん。
まさか、そのままじゃないよな。
俺は恐る恐るスマホ画面に表示される『すっぽん1』をタップする。
「………」
俺の目の前にはすっぽんが現れた。
そして甲羅から突き出した顔がこちらに向いた。
そしてテーブルの上から高速でガサゴソ移動を始めた。
「嘘だろ〜!」
この『ガチャ』生き物もありだったのか!?
もしかして今後牛とか豚もあり得るって事か!?
いや今はそれより逃げたすっぽんだ!
すっぽんって噛まれたらやばいんだよな。
俺は精神を集中させ戦闘モードに入る。
向上したステータスを目一杯使い、逃げるすっぽんを即座に捕まえた。
捕まえはしたけどこれをどうしろというんだ。
念のために母さんに聞いてみたが、悲鳴を上げて拒否された。
家にナイフは大量にあるが、俺にコイツを解体するのは無理だ。
恐らくこのすっぽんは日本生まれだ。
だから、池に離しても大丈夫のはずだ。
少しだけ生態系が心配にはなったが背に腹は変えられないので、少し遠かったが池まで行って放流してきた。
今後、『ガチャ』の景品で肉表記じゃなく生物表記の場合は要注意だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます