第16話 バレてた

「それじゃあ向日葵ちゃんはフラペチーノね」

「ありがとうございま〜す」


向日葵は結構遠慮なく高いのを注文している。

笑顔でそれが注文できる妹がある意味羨ましい。

俺はココアを注文して4人で席に座る。


「ふふふ〜」

「なんだよ三上さん。その笑いは?」

「こうやって能瀬くんとちゃんと話すのは初めてだなと思って。今日はお兄さんのこと色々聞かせてもらいたいな〜」

「はい、勿論いいですよ。フラペチーノの奢ってもらっちゃいましたし、綺麗なお姉さん2人とお話しできるのも楽しみですし」

「やだ〜向日葵ちゃん。正直で可愛い子はお姉さん大好き」


おいおい、向日葵、フラペチーノで色々人の事喋る気か。

三上さんの事はよく知らなかったが、こんなキャラだったのか?

それしても良くない予感しかしない。色々聞かせてってなにを聞き出す気なんだ。


「能瀬くんの趣味は?」

「お兄ちゃんの趣味ですか? 特に無いかも」

「いや、ちょっと待って。それは俺に直接聞けばいいんじゃない」

「じゃあ趣味は?」

「いや、特にないけど」

「それじゃあ向日葵ちゃんから見てお兄ちゃんの性格は?」

「そうですね〜。私には優しいですけど、かなり過保護気味ですね」

「そうなんだ」

「はい、結構隠れて責任感が強い方かも。口で色々言ってても最後は助けちゃうみたいな」

「あ〜やっぱりそんな感じ〜」


いったいこれはなんなんだ。

なぜか三上さんが向日葵に俺のプライベートな事をガンガン質問してきて向日葵もなにを考えているのか馬鹿正直に余計なことまでどんどん答えている。神楽坂さんも興味深そうに横で聞いている。

なんかいたたまれない。

そして自分のことを目の前でクラスメイトが質問して、なぜか向日葵が答えていくというカオスな状況が続いている。


「はい.兄はカレーよりハヤシライスが好きなんです」

「そうなんだ、男の子にしては珍しい気もするけど。色々ありがとね〜」

「どういたしまして。こんなんでよければいつでも聞いてください」

「それじゃあ、最後に能瀬くんに質問です」


なんだ?

今までずっと向日葵に質問していたのに最後に俺?

悪い予感しかしない。


「舞歌を助けてくれたあの鉈みたいなのってどこから取り出したの?」

「いや、あれは護身用に持ってたやつで」

「能瀬くん、私ね、あの時教室に残ってたの。それでちょうど舞歌と能瀬くんが一緒に見える位置にいたのよね」


三上さんの言葉で変な汗が出てきた。


「そうなんだ」

「それでね。なにもなかった机の上に突然鉈が現れたの」

「いや、マジックじゃないんだから。そんな事は」

「う〜ん、たまたまその瞬間を目撃しちゃったのよね」

「いや、それは」

「英美里、もうやめようよ」

「能瀬くん、ズバリ、スキルでしょ」

「…………」

「やっぱり。誰にも言わないから安心してよ」

「なんで」

「能瀬くんの態度で誰だってわかるでしょ」


そんなに俺の態度分かりやすかったか?

向日葵の方に視線をやると呆れたような表情を浮かべているのが見える。

やってしまったらしい。


「内緒で頼む」

「勿論よ。舞歌の命を救ってもらったんだし、あのままだと私だってどうなってたかわからないんだから感謝してるの」

「それならよかった」

「でも、なんで内緒なの? スキル使えるって自慢できると思うけど」

「俺のスキルは戦闘向きじゃないんだ。間違ってセイバーとかになったらモンスターに襲われてやばい事になるから」

「え〜でも〜ゴブリンを一刀両断してたのに」

「あれは、たまたま。もう一回は無理だったから」

「ふ〜ん。ところで私スキルって興味あるんだけど、ちょっとだけ教えてもらってもいいかな」


結局、この後、スキルやステータスの事を聞かれ、俺のわかる範囲で2人に説明する事となってしまった。


あとがき


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