第14話 変わる日常

俺の学校生活は少し快適になったが、それとは反比例的に学校の雰囲気は少し変わった気がする。

みんな今までのように、話したり笑ったりしているが、何処か緊張したような空気が漂っている気がする。


『ガチャン』


「ヒッ……」

「悪い。落とした」


誰かが普段と違う物音を立てると、怯えたような反応を見せる生徒が増えた。

今までだったら、誰も気にしないか、もしくは笑い話で済んでいたところだろう。

これまでテレビの中のニュースの出来事だったのが、自分達のリアルとして認識された事で、やっぱり変わってしまったのだろう。

俺も当事者なので、ゴブリンに対する怯えが無いと言えば嘘になるが、運良く倒せたせいかそれともレベルアップしてステータスが上がったせいか、皆に比べるとそこまででもない気がする。


週末になり特に予定もないので向日葵と買い物に行く事にする。

学校での生活は良くも悪くも少し変化したが、俺の日常はほとんど変わっていない。

家族と過ごすか、たまに友達と遊びに行くくらいだ。

親からは勉強する様に言われているが、休みの日にまで積極的に勉強する気にはなれない。


「欲しい物あるのか?」

「本当は服が欲しいんだけど、お母さんがダメだって」

「それは、そうだろう。だってこの前も服買ってただろ」

「今度はワンピースが欲しいの」

「それっていくらくらいするんだ?」

「5000〜10000円くらいかな」

「うん、無理。俺そんな金ないから」

「お兄ちゃんのケチ」

「いや、自分のお小遣いで買えって」

「だって、他にも色々使うから服にまでお金かけられないんだもん」

「だもんって……」


向日葵も年頃なのはわかるが、俺よりも明らかに色々買ってもらっている気がする。

俺なんか、10000円の服なんか買ったことない。


「女の子は色々とお金がかかるんです〜」

「ああ、そうかい。今日はウィンドウショッピングな」

「ケチ〜。お兄ちゃんが出してくるお肉とかって売れたりしないのかな。結構余って来てるでしょ」

「いや、無理だって。食中毒とか起こしても責任取れないから」

「ノンクレーム、ノンリターンでお願いしますで格安出品とかいけるんじゃない?」

「いや、産地とかどうするんだよ」

「偽装?」

「ダメダメ」


向日葵が悪い子になってしまいそうでお兄ちゃん将来が心配になってくるよ。


「まあお昼くらいは奢ってやるから」

「お昼代はお母さんからもらってるからいいよ」

「え……俺もらってないんだけど」

「頼まなかったからじゃない?」

「そんな……」


母親の差別が辛い。

向日葵と一緒に出る事は知ってるはずなのにひとこと声をかけて欲しかった。

俺の『ガチャ』ってお小遣いとかは当たらないよな。

いや当たっても偽造通貨とかで捕まったら大変だし無いな。


あとがき

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