第12話 レベルアップ

下の階でゴブリンとの戦いに苦戦していたように感じられた大前だが、やはりかなり手間取ったようで、結局先生や下のクラスの男子数人の手を借りてどうにか倒したらしい。

今回の件で1番ダメージを受けたのは石黒で骨が何本か折れてしまっていたようだが命に別状はないとの事で、不幸中の幸いと言っていいのか、死人は出なかったのでよかった。

そして学校では職員による緊急会議とPTA会議が開かれ、通学時に銃刀法に違反しない範囲で、スタンガンや小型のナイフを常備する事が推奨された。

それと同時に剣道部には部員が殺到したらしい。

残念ながら柔道では太刀打ちできない事が証明されてしまったので刃物を使う為に剣道部を希望する生徒が増えたようだ。

個人的には剣道部でナイフの使い方を教えているのは見た事がないので入るつもりはない。

俺は、ゴブリンを倒した後、痛めた手首が痛く無くなっている事に気づいて慌ててステータスを確認してみた。


能瀬 御門

LV1→2

HP10→15

MP10→15

ATK5→10

VIT5→9

INT3

AGI6→12


スキル『ガチャ1→2』


すると。俺のステータスは変化していた。

なんとレベルアップしてレベルが2になっていた。

各ステータスが上がり、スキル『ガチャ』の使用回数が2回に増えていた。

ただ何故かINTは3から変化がなかった。もしかしてINTはレベルアップしても変化しないのだろうか。

他の数値はレベルアップにより平均値を大きく上回っているので、せめてINTも5にはなりたかったが、こればかりは仕方がない。

たった一匹倒しただけだがレベルアップしていた。

同じくゴブリンを倒したはずの大前もレベルアップしているのか、それとも他に要因があるのかはよくわからないがとにかくレベルアップだ。

レベルアップして感じた事は、普段生活するのには特になにも変わらない。

変化を体感するのは、集中して力を込めた時に今まで以上の力やスピードが出ている事がわかる。

これはある意味助かった。

レベルアップするたびに力が増したりして、お箸や鉛筆が持てなくなったら大変だが、どうやらその心配はないみたいだ。

ある意味ステータスの上昇は戦闘時や緊急時限定のように感じる。

もちろん向日葵にも今回の事はすぐに報告しておいた。

レベルアップの事は勿論だが、ゴブリンは生半可な力ではなくやはり危険だということを力説しておいた。


「お兄ちゃん、もうわかったって。戦わないから大丈夫だって」

「もし向日葵の学校に現れたら絶対逃げるんだぞ」

「わかってる、わかってる」


レベルアップした今の俺なら、もっと簡単に倒す事が出来るだろうか。

いや、そんな甘いもんじゃないな。

あれは背後から隙をついただけだから、そうそううまくはいかないだろう。



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