第4話 洗礼
私は5歳になり洗礼の日を迎えた。
幼い頃から思いついた魔力増加のトレーニングは、今も日々続けている。これにより、私はおそらく人間を逸脱した魔力量を持っているかもしれない。
この世界では、人生の節目以外では誕生日を祝うことはないようだ。なぜなら、この世界の治安があまり良くないためである。一般的には、5歳、10歳、20歳に誕生日を祝う。前世でもあったひちごさんと同じような行事のようだ。
そのようなことを考えながら、美人メイドにされるがままに洗礼用に用意された貴族用の服に着替えている途中だ。彼女の紫紺色のロングヘアはしなやかで、背中まで伸びている。髪の色は深い紫色と濃い紺色が絶妙なバランスで混ざり合い、柔らかな光沢を放っている。初めて会った時は物語で出てくるエルフ種だと思ったが、この世界にはエルフがいるようである。彼女の名前はリリアンといい、前世のある国の言葉で「百合のような」という意味があり、その美しさや純粋さを表している。前世の世界との関連性があるのかと思ったところだ。そんな彼女に服を着る手伝いをしてもらっていると、
「今日は人生で最も大切な日になるでしょう」と言われた。
すると、扉がノックされ、屋敷の遣いの者が入ってきて、彼らがいった。
「馬車で当主様がお待ちです。」
エルフのメイドであるリリアンと正装に着替えて屋敷を出て、馬車に乗り込むと、父上が既に待っていた。
「父上、お待たせしてすみません。」
私は父上に久しぶりに会うので、緊張して言った。
「ああ、構わないとも。私が気にしているのは、お前の加護による結果だけだ。」と、父上はそう言った。
これが私じゃなかったら、将来ひねくれた性格になっていただろうなと思った。
「当主様はそう言っておられますが、どうかお気になさらないようにしてください。ちゃんとネオ様のことも心配してらっしゃいます。」
と、リリアンが言った。彼女は私が産まれた時からお世話をしてくれているからか、時折私を気にかけてくれることがよくある。屋敷を探検していた時も、一番に探しに来てくれたし、本を読みに部屋を抜け出していると彼女が見つけに来てくれることがほとんどだ。
まあ、それは気にかけるというよりは、メイドだからという側面のほうが大きいかもしれないが。
「皆さん、お待たせしました。馬車の準備ができたので、発車いたします。」
と、執事が言った。
皆が座っている位置は、一番奥に当主である父上が座り、その前に私が座っている。その横にリリアンという構図だ。
「出発いたします。」
という執事の合図で、馬車が進み始めた。
「お前はステータスを言うものの存在を知っているか?」
と、父上が言った。
「はい知っています。教会で診断をお受けることによってみることができるものですよね。」
なぜ今更、当たり前のことを聞いたのだろうか。
「しかし、例外がある。それは、このアビリティトレッカーを使うときだ。このペンダントは、持ち主が持った時に効果が発動し、ステータスと魔力残量を確認できるという代物だ。」
書籍には、ステータスは教会でしか確認できないと書かれていたが、公爵家はこんなものを持っているのだろうか。
そんなことを40分ほど話していると、教会が見えてきた。
その教会は、荘厳な建築物で、大きな鐘楼を持っていた。灰色の石造りの壁は、年月の経過を感じさせ、むしろその建物の古さと重厚さを強調していた。
正面入口は、両側に高い柱が立ち、その上には大きな扉が威厳を持って開いていた。扉は、彫刻や細工が施された重い木材でできており、丁寧に手入れされているようで、光沢を放っていた。
教会に入ると、高い天井と真っ白な壁が目を引く。窓から差し込む光が、中央の聖壇を照らしており、神聖な雰囲気を醸し出していた。聖壇には、細かな彫刻や金色の装飾が施されており、その奥には、大きな十字架が掲げられていた。
「ファルコン公爵だ。息子が5歳になったので、洗礼を受けにきた。」
父上が受付に話しかけると、受付嬢が
「お待ちしておりました。領主様。こちらへ。」
受付嬢は、領主が来たとわかると、教会の中を案内し、奥の一番豪華そうな部屋に案内した。
案内された部屋は広い空間になっており、この教会が信仰していると思われる7つの神像があり、それを支えるように百余の小さな神像があった。窓から火の光が差し込んで、幻想的に光り輝いていた。
「それではこれよりネオ・ファルコン様の人生の節目となる洗礼を始めます。ネオ様は恐れながら
その絨毯の上で膝をついてお待ちください。」
神父の言の言う通り片膝を絨毯について待っていると、
「神よ。ネオ・ファルコンが無事に5歳を迎えました。この子があなたの下で成長し、あなたの道を歩むよう導いてください。彼が常に愛と善良、真理と公正を求め、あなたの教えに従って生きることができるよう、あなたの恵みと導きを与えてください。彼があなたの栄光のために働き、あなたの愛を世界に広めるために力を与えてください。主よ、この子を見守り、あなたの愛と恵みで彼を満たし、彼に加護を与えてください。」
その瞬間、世界が白一色になるほどの光が、神像たちから放たれた。
光が収まると、神父が狂ったように祈りを捧げていた。
「生命の輪廻や死を司る女神ディワーリ様が加護を与えたのです。
百神なら分かりますが、七神からの加護は初めて見ました。
これは伝説に残るでしょう。」
周りの人々もその場に立ち尽くしていた。
その後、ステータスを調べることになった。
{名前}:ネオ・ファルコン
{種族}:人間
{性別}:男
{年齢}:5歳
{スキル}
支配者の器-v1
血塗られた復讐の守者-v1
{加護}
生命の輪廻や死を司る女神ディワーリの加護
{加護スキル}
なし
{ステータス}
レベル:1
身体能力:100
魔力:12405
頭脳:2600
潜在能力:SSS+
どこから突っ込んでいいのかわからないがまず魔力量が飛び抜けている。
一般的な魔術師で魔力量は3000-6000であるので私がどんだけ飛び抜けているかどうかがわかる。次に潜在能力がSSS+なことだこれは非常に稀有で強力な能力を持っていることを示しており、このレベルの潜在能力を持つ人物は、他の人々が到達できない領域に到達し、驚異的な偉業を成し遂げることができるそうだ。
一般的な人間の潜在能力がE- から高い人でも S+であることから私がどんなに高いかがわかる。
「加護スキル」とは、5歳の洗礼を受けることによって得られる項目であり、通常のスキルとは異なり、加護を受けている神に関連する効果が強力なスキルを獲得することができるものらしい。この神は、百神ではなく、七神から与えられている。七神とは、天界を束ねる神のことであり、百神は七神の連なりの一つ。そのため、七神に近づくことで、概念的な力を加護スキルで得ることができる。しかし、七神が加護を与えることは極めてまれであり、その低い確率から、数千年に一度しか起こらないとされているらしい。
私はこの世界が私のものになる日は近いことを感じた。
{名前}:ネオ・ファルコン
{種族}:人間
{性別}:男
{年齢}:5歳
{スキル}
支配者の器-v1
血塗られた復讐の守者-v1
{加護}
生命の輪廻や死を司る女神ディワーリの加護
{加護スキル}
なし
{ステータス}
レベル:1
身体能力:100
魔力:12405
頭脳:2600
潜在能力:SSS+
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