第4話 チートデイ。
————マドレーヌを食べ過ぎたわたくしは太りました。深く反省し、切り詰めた生活をしておりました。体脂肪もある程度減って来ました。腹直筋の内側から来る圧力も徐々に減って来はしたのですが、皮下脂肪が落ちませんでした。
わたくし、物心ついた時からお腹が六つに割れていた為、初めての体験でした。自分の腹直筋が隠されて見えないのです。わたくしの四肢に走る血管達が見えなくなってしまったのです。
そのせいで自分に課したはずの激しいトレーニングにも身が入らず、それに先ほど司祭様が仰ったとおり、筋量がどんどんと減っていきました。カタボリックです。
わたくしはパニックになりました。
ですが、脂肪を前にして、どうしても以前のような高カロリーの食事を
そのせいで筋なる肉を削る日々!
なんという皮肉!
ああ、どうか哀れなわたくしめを笑ってください! 司祭様——————!
「————チートデイは設けていますか? 我々の肉体は低カロリーな食事が続くと『ああ、自分はこのカロリーで生きていかなければならないんだ』と判断して少しの食事からも沢山のカロリーを得、それを蓄えようとします。更に筋なる肉からもエネルギーを得ようとする為に肉が分解されやすくなり、筋量がどんどんと、減ってゆくのです。そうならないように、週に一回程度、好きな物を好きなだけ食べる日を作るのです。肉体を騙す、なんて云うと、それこそ罪深き行いのように思えるかも知れません。しかしそれは既に筋なる肉によって赦された行為であり世に名を連ねる
「ああ! なんということでしょう! 筋を! 肉を! わたくしが愛するあまりしていたことこそが間違いであったと!」
「どうかご自分を責めないで下さい。誰もが通る道ですから。それで、罪は、それだけですか?」
「いいえ。まだあります。なんと罪深いわたくし————」
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