4.変貌

「愛華くん、送ってくれて助かったよ」

「いえいえ、いいんですよ」

そう言ったと思うと愛華くんは車庫に入れた自身の車から降りた。

なぜだ?

「先輩、お茶でも出してください」

「ああ、まあいいが」

まあ、助けられたわけだからそれくらいはいいか。

それにしても、何を考えているのやら。

「じゃあ、まあ入れ」

俺は、愛華くんを招き入れた。

「お邪魔します」

そして、玄関を閉める。

それと同時に、俺は抱きしめられた。

「えへへ、先輩の匂い」

「おい、愛華くん。放してくれ」

「いやです」

背後から抱きしめられているため、引き離すことができない。

徐々に力が込められていく。

打撃を入れる・・・いや、女性にそんなことは。

「君は何がしたいんだ」

「先輩が好きだから、先輩が欲しいだけです」

いや、意味が分からない。

いままでの愛華くんと重ならない。

「先輩、先輩。はぁはぁ」

やばい、これはやばい。

愛華くんに何があったというんだ。

く、なんて力だ。引きはがせない。

「先輩」

その声と共に、愛華くんは前方に回り込み、正面から抱きしめてくる。

そして、次の瞬間俺の唇は塞がれた。

彼女の唇で。

その行為はエスカレートしていく。

口の中を舌が蹂躙していく。

じゅるじゅるぴちゃぴちゃと淫靡な音が響く・

それは、長いこと。

どれほどの長さかわからないほどに。

堕ちていく。

心まで彼女に蹂躙されるかの様に。

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