第12話 ル・ボネン国から来る(5)

 使節団との最後の宴会に出ます。

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 続く3日間の会議はル・ボネン国へ行く事を前提に行く時期やどのコースを通って行くのか、その時の御付きや警護の人数などが話し合われた。


 最初からラーファは竜騎士に送ってもらう事をサンクレイドル男爵様にお願いしていた。そのため訪問の時期を除いたその他は全て必要無くなった。ただし、飛竜の着陸場所をどこにするかで揉めた。


 ル・ボネン国としては、国民惹いては神聖同盟の各国へラーファが来た事を知らしめたい。出来れば王宮前の広場が望ましいとなるのは当たり前だった。


 ラーファとしては、飛竜の着陸場所として草原が望ましい。周りを大勢の人が取り囲むような場所へは万が一の事故を考えると避けたい。


 結局アリス侯爵夫人が結婚前、王都ウルーシュの演習場で実演して見せた事から、王宮前広場に決まった。


 飛竜は占領してオウミ国の領土となったル・ボネン国との国境の町ウラスボに前日飛来し一泊。翌日時間を見計らって出発し、王宮前広場に着陸した後、すぐさまウラスボの町へ引き返す事に成った。飛竜をル・ボネン国に長時間、それも竜騎士一人で滞在する事は危険だと判断したからだ。


 飛竜から降りた後、歓迎の式典がル・ボネン国で執り行われる。3日間の会議で、この様な内容に成った。


 後は、何時行くのかだけなのだが、それが決まらない。


 ル・ボネン国としては、使節団独自でいつ来るか決められない事は理解できる。王宮側の受け入れ用意もあるだろうし、体制を整える必要も在る。ラーファとしては、受け入れ準備とか体制を整える必要は無いと思うが、彼らが必要だと言うのなら必要なのだろう。


 使節団では決められない事が分かったので、ル・ボネン国へ使節団から途中経過の報告を兼ねた時期の選定を決める使者を出す事に成った。早ければ6月の始めにも回答が分かるだろう。


 ここまで決まれば後は王都へ使節団が行く前にお別れ会をするだけだ。当初出席を予定していたイガジャ侯爵様は、歓迎会にもお別れ会にも出席していない。アリスの妊娠で侯爵様が王都へ移動して帰ってこないのが原因だ。イガジャ侯爵様へは王都で挨拶する事に成った。イガジャ領に侯爵が居ない以上仕方ない事だ。


 お別れ会用にラーファが着る衣装は、同じスモックとスクマーンだけど、縁取りの刺繍とレースの飾りが魔女が着る様な黒系の強い物に変わっている。最後に付ける帯とエプロンも赤い帯と真っ白いエプロンの取り合わせで黒いスクマーンの生地に赤い帯と白いエプロンの取り合わせは派手だと思う。


 白いエプロンには魔女の薬を5つ種類頃に楕円の縁取りで青く刺繍で埋められ中心から放射状に白い糸で表現された光が刺繍されている。これに白いマントを羽織れば、はたから見れば正装した魔女に見える。


 エプロンの刺繍を完成させるために、ラーファもマーヤまでも駆り出され、会議の間の3日間朝から晩までエプロンに刺繍を入れる事になった。マーヤは学園の授業以外の時間で手伝ってくれたが、意外と細かな刺繍が得意で驚かされた。


 魔女の正装姿のラーファは、ル・ボネン国主催のお別れ会でも、カークレイ様とボーデン奥様に付き添われて使節団団長サジタリス様へ挨拶する。


 「お招き頂きましてありがとうございます、サジタリス様はこの後王都ウルーシュへ行かれるとおききしています、旅の無事をお祈り致します」

 「これは此れは、ダキエの姫様、丁重なあいさつありがとうございます、今日の衣装は前の衣装とは又趣の違った魔女装束での出で立ち、このサジタリス見惚れてしまいましたぞ。」


 好々爺と言った様子で話しますが、ラーファには何か探ろうとするようにも感じられます。


 「素晴らしい刺繍ですが、その刺繍はダキエの姫様が作られたとお聞きする魔女のポーションではありませんか?」

 「・・・ はい、大魔女のおばば様との共同研究にて作り出す事が出来ました魔女の薬をかたどった刺繍です」


 一瞬その情報まで知られているのかと、間が開いてしまったが何とか言葉を選んで話せた。薬の話からそらさないと不味い気がする。


 「私も薬の縁取りを刺繍してますが、ほとんどはイガジャ男爵様のエイシャ奥様が手ずから刺繍していただいた物です」

 「それはダキエの姫様への心の籠った素晴らしい贈り物ですな。」

 「はい、ありがたい事だと私も感謝しております」


 ラーファは少し付き添いの二人から離れると、二人とその後ろにいるサンクレイドル様とエイシャ奥様へ向かって深くカーテシーをする事で、感謝と謝意を表した。


 「この地を離れる事と成り、最高のはなむけを頂いたとこの場をお借りしてお礼申し上げます」


 立ち上がると、サジタリス様へ向かって軽く礼をして別れを告げた。


 「サジタリス様、次にお会いできるのはル・ボネン国になる事と思います、それまでのしばしのお別れです、今日はお招きいただきましてありがとうございました」

 「そうですな、名残惜しい事ですが再会を楽しみにしておりますぞ、今日は来ていただいてこれほどうれしい事はありませんでした、ありがとう。」


 別れの言葉を聞いた後、目礼して出口へと向かいます。カークレイ様は残られて、ボーデン奥様とエイシャ奥様がラーファに付き添ってくださいました。


 この後はお酒とタバコの男同志での歓談に成るのでしょう。こうしてル・ボネン国との会談は終わりました。


 後は移動の時期が決まるまで、再び王都ウルーシュで公開治療を続けます。


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 タバコは西の大陸との交易が在るこの世界では、早くからと言っても1万年ぐらい前からですがあります、当然ダキエ国は禁止していましたが、人族の間で広がり喫煙文化は広く深く根付いてます。

 次は閑話を挟んで王都ウルーシュでの公開治療の続きです。

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