第8話 ル・ボネン国から来る(1)
カカリ村にル・ボネン国の使節団がやってきました。
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ル・ボネン国の使節団の団長は王宮の執事も兼ねる外務卿サジタリス・アルボネ・ヴェルナ。
総勢30名の国王へ謁見可能な規模だ。
オウミ国の国境にはル・ボネン国の近衛兵300名からなる騎士団が護衛を兼ねて控えている。
近衛兵の対応をされている西の大公様は大変な思いをされているのだろうなぁと、ラーファはよそ事ながら同情している。
騎士団に成ると5倍の騎士見習いや使用人が付いて来るから大変だ。
30名の使節団を迎え入れているカカリ村も用意が大変だった。
先ず使節団の大半が貴族でその貴族の御付きが100名近く同行しているし、薬師や楽師などのその他の人員を含めると150名に膨れ上がる。
貴族はイガジャ邸に泊まって頂くとして、随行員はカカリ村の宿に分散して泊まれるように手配した。
勿論、大変な思いをされているのはイガジャ男爵様で、ラーファはマーヤから聞いただけ。
ラーファには、男爵様からは、なるべく早く帰って歓迎会に出席してほしいとお願いされている。
ラーファは、「ル・ボネン国へ行きます」と一言いえば済むかなぁと思っていたけど違うらしい。
歓迎会では顔合わせのみで込み入った話はしないのだそうだ。
使節団はラーファに面会して、会談を3日間予定していて、その間にイガジャ男爵主催の歓迎会、会議の間の夜食とその後のお酒を飲みながらの歓談、そして使節団主催のお別れ会が決まっている。
更にカカリ村から王都ウルーシュへ移動して、王様とカカリ村での会談の成果を基に更なる会談が控えているそうだ。
内容は、ラーファにル・ボネン国への移動を打診して良い返事を貰う事を前提に。
オウミ国の王様と確認の打ち合わせをして、ル・ボネン国へラーファが移動する念押しを王様にしてもらう事。
王様の確認が無いと、本当にラーファが来てくれるのか安心できないと言う事だ。
『「行くよ」、「いいよ」でラーファとしては良いと思うのだけど、違うのかしら?』
マーヤが神域に居るのを知っていたので、念話で愚痴った。
『ラーファが考えているのが友達同士ならそれで良いけど、国と国だよ、恐らくオウミ王が前の戦争の時に言い出した約束の件が絡んでると思うよ』
マーヤが陰謀論的な事を言い出した。
『無い、無い! ラーファは何処へでも自由に行く積りだよ、神聖同盟以外ならね』
『だから! ラーファでは無くてル・ボネン国とオウミ国の間で確認が必要だから今回使節団と王様が会って話すんでしょう』
『いったい何を話す必要があるの?』
『だから! オウミ王が先の戦争の時提案した「ラーファと友誼を結ぶ」って話の再確認を国同士がするの!』
『そんなのラーファとは関係ない話よね』
『関係は在るけど、気にする事では無いわね』
そのような経緯があって、ラーファは歓迎会が在る5月15日の前日14日にカカリ村へワイバーンで王都から移動した。
第1城壁内の飛行場を利用したので
手続きをイガジャ男爵様にお願いする必要があると言うのでマーヤから頼んでもらった。
手続きなど煩わしい事は嫌なので、その日城壁から外へ出てワイバーンに人目のない所で乗って、カカリ村へ飛ぶ積りだとマーヤに言ったら、
『恐らくラーファには護衛が何人かついているはずだから、人目の無い所なんて無いよ』
と言われ、仕方なくマーヤからイガジャ男爵様にお願いして貰った。
何せマーヤに移動の件を話したのが11日だったから、時間が無かったのだ。
魔女のポリィーが飛竜のラスに乗って、男爵様の手紙を持って王都へその日の内に飛んで来た。アリスの妊娠を知って王都に移動しているイガジャ侯爵様へ、持参したイガジャ男爵様の手紙を渡し。次の日ガランデァス伯爵様の手紙を持ってとんぼ返りした。と、マーヤから聞いた。
これだから国の上層部と関わり合いに成ると、煩わしい手続きが増えるし、迷惑する人が増えるのだ。
差し詰めポリィーが今回の被害者№1と言えるだろう、ラーファの性では無いのにごめんなさいと思ってしまう。
魔女学園の飛行場へ着陸して、ワイバーンのピースィを神域へ送り出した後、出迎えてくれたマーヤを抱っこする。
「マーヤただいま」
「お帰りなさいラーファ、皆手ぐすね引いてラーファを待ってるよ」
「え! 何かあったの?」
使節団は今日既に着いているバズだけど、何かあったのだろうか?
「ボーデンお婆様とエイシャ奥様が侍女の集団とラーファを待ってるの」
「なんで?」
「明日の歓迎会の用意だって」
「何か用意する事ってあるかしら?」
「さぁ? 行けば分かると思うよ」
マーヤが何か面白いいたずらをする時の、目を輝かせた状態でラーファを見ています。
悪い予感と言うか危機察知がマーヤには働かないと思っていたのに、何やらピンク色に感じているのは何故でしょう?
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カカリ村は使節団の歓迎会に向けて準備が色々待って居ます。
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