第7話 ウルーシュの生活(6)
広場での公開治療を行います。
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5月3日はマーヤの7才の誕生日、朝おめでとうを言って朝ご飯を蜂蜜を掛けたパンケーキと細かく切って凍らせたリンゴと濃厚な牛乳でスムージにして出した。
マーヤは7才になったのがうれしいようで、魔女学園のクラス皆でお祝いしてくれるそうだ。
魔女学園の食堂を誕生日会の会場として用意してくれている。
魔女学園が終わった後、みんなで集まって誕生日会をすると張り切っている。
ラーファもその会に出てマーヤを全力で堪能したいと思ったが、仕事がある。
気を取り直して、今日から始める公開治療へ気持ちを切り替えた。
下町
町役場からは無事広場での公開治療の許可をもらえました。
場所も交通量が多い町役場正門側の一角を貰えたので良かったです。
初めての試みとしてラーファと患者が座る椅子の横に立て看板を置きます。
立て看板には一番上に、魔女の薬と大きく目立つように書いてる。
その下に薬の種類毎に名前と金額と効能が枠の中に書かれている。
初級回復薬 銀貨1枚 傷、発熱、毒、風邪、体調不良 の初期症状に効く。
中級回復薬 銀貨10枚 骨折、酷い発熱、中毒や毒物、風邪や肺病、体調不良 の症状に効く。
上級回復薬 金貨1枚 大ケガ、古傷、慢性毒、ほぼ全ての毒、体調不良や病気 の症状に効く。
初級傷薬 銅貨10枚 2,3ヶ所の切り傷、数か所のケガ、単純な骨折の時 に効く。
初級解熱薬 銅貨10枚 高熱や浮腫が在る、痛みを一時的に取る時 に効く。
初級解毒薬 銅貨50枚 軽い中毒や毒キノコなどの毒物を食べた時 に効く。
初級風邪薬 銅貨30枚 風邪や咳、のどの痛みが在る時 に効く。
初級回復薬は切断や複雑骨折以外の骨折を含む傷、解熱、解毒、風邪の薬を全て含んだ効果がある。
薬の色は白くて、初級の大きさは小指の爪ほど、形は楕円をして、摘まむと弾力が在る、薬の奥から光が出ている。
見分け方は初級が最も小さくて、中級が一回り大きく、上級は更に大きい。
初級の10倍が中級で更に10倍が上級の薬の値段になる。
新しく登場した初級の傷薬、解熱、解毒、風邪の各薬は魔石から作っていた物をポーション化した物です。
作成原価が一人の魔女見習いが1コル(15分)で10個は作れるようになった事から回復薬を含めて価格を見直して今回の価格にしています。
回復薬と見分けるために、
傷薬は薬に1本の黒い線が一周している、解熱は2本、解毒は3本、風邪は4本ある。
回復薬には光るだけで線などの模様は付けていません。
看板は広場での公開治療の目的が、魔女の薬を広く一般に知って貰う事なので、昨日用意した。
立て看板の後ろから声を張り上げて今日から営業開始です。
広場中にラーファの声を聞かせるために声を遠くまで届ける
「みなさんー、カカリ村からやってきました魔女ですよー」
「今日から格安での治療を始めようと思います」
「最初の10名の方限定で無料で診断します」
「最初の10名の方だけ無料で診断しますよー」
最初の10名が無料なのは客寄せのため、今後も診断は全て無料の予定です。
無料で診断と言ったのが客寄せに成ったのか、声を上げている最中に最初のお客から声を掛けられた。
「おい、魔女さんよ、無料で見てくれるのかい?」
薄汚れた男が立っていて、顔もしわが多く疲れた顔で色も青白い、手は若いのかしわは無くでも爪は剥がれて無い所も在る。
王都に住む人の常で衣服は着崩れていても洗濯されている。
「はい、最初の10名様まで無料で診断しますよ、治療が必要ならお金は治療代が掛かりますが、先に金額は言いますから受けるか受けないか決めてください」
「見て貰うだけなら金は掛からないんだな!」
「はい、無料ですよ」
「良し、見てくれ。」
「では、此方の椅子にお掛け下さい」
男を椅子へと案内して座ってもらう。
召喚した、使い魔に男の臭いを嗅がせて結果を聞く。
使い魔から嗅いだ結果を知らせてきた。
歯周病、副鼻腔炎、皮膚病全身、肺病、寄生虫、その他多数。
その中で最も重い病が肺病だった。
「あなたは重い肺病に架かっていますね、他にも骨折を放置しておかしな骨の形に成って居ます」
「全身に重い皮膚病も見られます、おすすめの治療は中級回復薬で銀貨10枚に成ります」
「ただし、肺病は最低でも10回は初級風邪薬を飲む治療が必要です」
「他にも一つ一つの病毎に治療する、事もできますよ」
「虫下しや軽いケガ程度でしたら銅貨5枚で受けられますよ」
「治療ってどんなことをするんだ?」
男がぶっきらぼうに聞いて来る。
「はい、この魔女の薬を1つ飲んでもらいます」
「おい、その魔女の薬ってポーションか? 偽もんじゃねぇのか?」
「いいえ、この魔女の薬は全て此の形で柔らかく作られています、偽物は同じには作れ無いですよ」
「特にこの粒の形と色、弾力があって、更に粒の奥が光っていますから分かります」
「偽物はこの粒の形や色と、弾力があり光る物は作れませんから」
偽物が光らないのは、光らせるのに魔道具が必要な事から銀貨どころか金貨が必要になるから。
偽物かどうかは光るか光らないかで判別できるけど、やはり本物を知って居ないと判別はむりがある。
余計な事を考えていたら、男が立ち上がった。
「治療はいらない、あばよ」そう言うと、あっという間に消えてしまった。
診断を見ていた見物人たちは、じろじろを此方を見ているだけだ。
「魔女の姉ちゃん、今度はおいらだ!」
見ると10代の男の子が既に椅子へと座っていた。
「では、診断しますね」
使い魔に匂いを嗅がせる。
今度の子は既に虫歯に成っていた。
他にも寄生虫も居るし指の欠損と骨折がいびつに繋がった影響で体のあちこちにゆがみが在って痛みまでは行っていないが動きにくくなっている。
「あなたは、虫歯と骨折した後骨の繋がりがゆがんでいるわ」
「動くと疲れやすかったり、痛みがしたりするでしょう?」
「ふーん、他にはなかったかい?」
「ええと、指の欠損以外には、寄生虫がお腹の中にいるわね」
「お腹が緩く成ったり、張りがあると思うわ、後全体に栄養が足りないわ」
「じゃあ、治療代はどんだけかかるんだ?」
「そうね、虫下しだけなら初級治癒魔術の行使だけだから銅貨5枚かしら」
「虫歯と骨折のゆがみを直すのは回復薬が必要だから、銀貨1枚よ」
「指の欠損を再生までだと再生魔術を行使するから金貨1枚よ」
「そうか、ううーん、じゃぁ虫下しだけ頼むわ。」
「はーい、承ったわ」
男の子に治癒魔術を行使して寄生虫を全て退治してしまう、おまけで骨のゆがみも大本だけは回復させる。
「この後お腹が緩くなるからトイレに行ってね、すっきりしたら体調も良くなっていくからね」
かれから銅貨5枚を受け取ると、机の上の箱へチャリンと入れた。
彼への治療が良かったのか、金額が銅貨5枚で済んだのが安心感をもたらしたのか。
彼の後から次々にお客がやってきた。
いつの間にか診断した人数は30人近くになっていた。
診断後に治療した人も18人と半数以上が治療を受けた。
治療した人の大半が虫下しの治癒魔術で何人か初級の傷薬を買っていった。
気になった事が3つ在る。
一つは目は、治療する中で患者が魔女の薬をポーションと呼ぶのが気になった。
今日見た患者全てが魔女の薬をポーションと呼んでいた。
二つ目は、今日見た人のほぼすべてに寄生虫がいた。
三つ目は、骨折した部分を放置して繋がった人が大勢いた事。
この件は
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カカリ村にル・ボネン国から使節団がやってきます。
ラーファは彼らと無事話し合う事が出来るでしょうか。
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