第139話 快楽の神

「魔竜アポトーシスには僕とリサが対処する予定だ。君達の相手はあくまで筋肉神テストステロン堕神エストロゲン

 しかし予定外の事があるかもしれない。その場合は臨機応変に対処してくれ」


「魔竜アポトーシスと私達の戦い。これは3年前とほぼ同じです。

 ただそれでは3年前と同じ結果で終わります。ですから何処かで貴方達が介入せざるを得なくなるのでしょう」


 なるほど。確かにそうだ。そしてそうなった時にはおそらくミーツ氏やリサの指示やアドバイスは聞けないだろう。


 ミーツ氏とリサから異質かつ強烈な筋配けはいが流れた。神力だ。おそらくステータスにあった神の残光という能力の開放だろう。

 そして魔竜アポトーシスに立ち向かうか、というところで。


 ミーツ氏とリサの動きが落ちていく。同時に神力も消えていくのがわかる。

 何だ、何が起きたのだ!


「それでは以前と同じ結果に終わるだろう。ミーツ、そしてリサよ。今回の汝らはあくまで案内人」


 魔竜だ。魔竜がミーツ氏とリサ、そして俺達の方を見る。


「どういうことだ、滅神コルチゾールよ」


 リサとミーツ氏の言葉がハモった。

 同時に俺達は理解する。敵の一柱、滅神コルチゾールは既に魔竜に乗り移っているのだろうと。


「神がつくりし神の顕現。確かにそれなら強さは得られよう。子の世界を造りし神が力を放つべく造りしものであるから。

 しかしそこには意外性は無い。故に戦いが激しかろうと結果は変わるまい」


「ならどうするのですか」


 リサの声。


「意外性をも内包すれば良いであろう。前回の戦いで我を顕現した魔竜アポトーシスは敗死した。故に我はその分、深く我を取り戻せた。汝らより考える時間もあったのだ」


 なるほど、理屈はわかる。それだけ強い衝撃を受けたが故に正気に戻る時間が長かったという事だろう。

 勿論魔竜の話はまだ続いている。


「我らが完全に造りし我らの雛形。それでは戦いも意外性を放てる可能性は皆無。

 ならば我らの違う思考を持つ、違う世界からの依代。それらに我らの力と存在を託して戦わせれば良いであろう」


 それって代理戦争という奴だろうか。という事は……


「見るにそちらの力を与え、そして託した存在である筈の勇者が2名。更に起急神アドレナリン快楽神ドーパ-ミンの手によると思われる者もいるようだ。

 なら派手に戦を起こそう。派手で意外性のある戦で本来の病の原因、緩和神セトロニンを目覚ましてやるがいいだろう」


 リサとミーツ氏がはっとした顔で魔竜アポトーシスの方を睨む。


「あなたは誰なのですか。滅神コルチゾールのふりをしてもわかります。滅神コルチゾールの意識は既に正常なものでは無くなっている筈ですから」


 リサの言葉に魔竜がにやりと笑ったように見えた。


「気づいたか。我が名はドルゴル・スレン。青龍にして滅神コルチゾールの呼びかけに応えこの世界へと転移した者。

 既に滅神コルチゾールは自らの正常な意思を失っている。しかしその意思や力は全て我が受け継いでおり、行使出来る状態にある」


 魔竜、いやドルゴルの筋配けはいが変わる。強大な悪魔カタボリックとしての筋配けはいから異質な筋配けはいへ。

 同時に姿も変わっていく。巨大な魔竜の姿がふっと煙の様に朧げになる。

 そして。


「ドルゴル殿は人であったか」


 シュウヘが言ったとおり人の姿になった。身長は概ね180cm位でゴリラゴリラゴリラ体型。雰囲気からしてシュウヘと同年齢くらい、つまり一三~四位に見える。


「神の力があるのだ。姿など意思次第でどうにでもなる。この姿の方が戦いやすかろうと思った。それだけだ。

 汝らもそれぞれ庇護を受けた神の力を得るがいい。勇者はそれぞれの神の力と意思を。そしてそれら勇者にまぎれて起急神アドレナリン快楽神ドーパ-ミンによりこの地へ招かれしものも」


 なるほど。俺は理解した。俺の転生はやはり神に仕組まれていたのだと。


『その通りだ。我は快楽神ドーパ-ミン


 姿はない。ただ俺の脳裏に呼びかける声。

 出たな。俺にとっての全ての元凶が。元魔竜との状況を把握しつつも、俺は俺の脳裏に直接返答した輩に問う。


『何故俺を選んで喚んだんだ。理由を教えろ』


『お前が我を求めたからだ。更なる快楽を、愉悦を。

 性欲の袋小路を深淵近くまで潜ってしまったお前はもはや普通の性欲解消程度では満足出来なくなっていた。


 故に我はお前をこの世界へ招いた。あくまで筋肉神テストステロンの失敗を装って。その歪んで深化した知識がこの世界または神を変える事を願って。


 まさかこんなに早く滅神コルチゾールが動くとは思わなかった。しかし問題はない。お前の性欲と性技は昔の記憶を取り戻している。

 シュウヘ、ケーリー、そしてムナール。僅か3回だけだが、お前はほぼ全てを思い出しているだろう。奥義マゾの呼吸をも使えたのがその証拠だ。

 他の呼吸、例えばサドの呼吸も当然思い出しているだろう」


 待てこの快楽神ドーパ-ミン! 何をさせる気だ!


『この場に喚ばれぬ筈のもう一人の神、起急神アドレナリンは戦うつもりだ。静と動、完全隠密と筋愛きあい最大出力を武器として」


 間違いなくナリマの事だと想像がつく。


「しかしその程度では此処の残り四神、更にはこの場に出していない、神の病の原因である緩和神セトロニンをも呼び覚ます事は出来ない」


 なるほど。単なる筋肉による力のやり取りでは神の想定外に出る事は出来ない。そういう意味か。

 神という存在は気にくわない。しかし言っている事は理解出来る。


「その通りだ。

 故にスグル、田常呂たどころ浩治こうじの記憶と技を持ち、この世界の身体をもつ者よ。

 我らの世界には無く、田常呂たどころ浩治こうじの世界にはあった力を存分に振るえ。サドの呼吸を存分に使うがいい。誰が、何処が急所か。お前なら見つけられるだろう」


 ちょっと待ってくれ。つまり俺に、ここにいる全員を●せ! そう言うのか。


『その通りだ。実際悪くないだろう。どの肉体も』


 確かに。ドルゴル、体型的には好みでは無いがケツの締まりは良さそうだ。あれを後ろからぎっこんばったんやればさぞかし楽しいだろう。


 シュウヘは一度ヤったから良く知っている。あれはいい肉だ。


 そしてサダハル。関係上そういう事は考えていなかった。しかしいい肉体なのは間違いない。


 ナリマはどうだろう。さすがにあの年齢のショタを犯すのは申し訳ない気が……


スグルおまえの実年齢を思い出せ』 


 確かに。俺はやっと七歳になったばかりだった。ナリマより更に年下。ならこれもガキの悪戯という事で何とかなるだろう。

 いいだろう。ヤってやる。流石に全員を相手にするのは苦しいかもしれないが。


『そのために我から新たな加護を授けよう。絶倫! 無限性欲! そして魅了!』


 おお、力が巻き起こってくる。股間を中心として!

 

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