第138話 道は開けた
前方に
この馬鹿でかい
その2人は飛び抜けて強力だが他4人もかなり強そうではある。間違いなく伯爵級以上の筋肉貴族か上級使徒だ。
そして気がついた。
先程
親父達の先の敵の密度は今までの比ではない。行進中の部隊の真っただ中状態だ。
気が遠くなりそうな
騎士団の方へ行っているのはその残り。
更にその先に親玉らしい
だがその間の
それでも前進していく。親父達のいる所までは今の状態でも行けそうだ。
近づくにつれ、異様な音が響くようになった。全体では形容しようのない音と振動だ。
何かが叩きつけられた様な音、何影へしゃげたような音、人間のものとは違う低い地響きのようなうなり声、荒い息づかい。
筋肉を駆使した戦いが放つ音だ。混ざり合って悪夢のような音と振動となっている。
「来たな」
そんな悪夢のような音と振動の中。なのに不思議とはっきり聞こえた。親父は戦いながら振り向きもしないで放ったようなのに。
「はい」
目の前の敵に蹴りを食らわしつつ何とか答える。
「
「恐れ入る」
やはりもう1人の凶悪な
「遅くなりました」
これはミーツ氏。
「いや、充分早い。こちらが少し早く出た」
「3年前と同じ間違いはしない。だから今度は俺達自身で来た。結果としてここで
「旗は違う。だが思いは同じ」
状況は何となく察した。それに聞き返せるような状態でもない。俺達自身、実際はとんでもない数の
それても、戦いつつあまり関係の無い事を思ったりもする。親父、こういう場では一人称が俺なんだなと。
「ここまで来れたという事は、今回の件を片付ける意思と実力がある。そうだな」
「ああ。神に話をつけてくる」
ナリマがそう返答。
「なら道を拓こう」
「ああ。さっさと片付けてこい」
親父と
「レクタス、フォラム。後は頼む」
「AST、ALT。任せた」
何をする気だ。そう言いたいがそんな余裕はない。俺達は目の前の敵を片付けるだけで手一杯だ。
「後について来い。敵親玉の前まで引っ張る」
「かたじけない。では皆、
ミーツ氏の言葉。何をする気だ親父共。この前進無理という感じをどう片付ける気だ。
「まずは俺が周りを開けよう」
親父が何かするようだ。
「ヤッくん、モッくん、フッ
何だ親父! そのその訳のわからないかけ声は!
しかしアブドミナルアンドサイのポージングから放たれた
前方120度に範囲にある道も樹木も岩も全てが吹っ飛んでいく。敵も同様だ。倒れる前に飛ばされて視界から消える。
「クラウチングスタート」
「行きます!」
ほぼ同時に走り始めたリサとミーツ氏について俺達も走り始めた。親父の
速度はそれほどでもない。時速100km位だろう。
あっという間に親父の
「一粒300メートル、プラス!」
敵親玉らしい
悪魔の大群も先が見えてきた。あと1km位で終わる。その先は500位離れて今までの
後方から
「とりあえず後に邪魔になりそうな敵を一掃しよう。走りながらの~肩にメロン!」
ただ今度は道までは壊していない。威力が弱いわけでは無く範囲を絞ったようだ。
だったらさっきもそうしてくれ! そう言いたいところだが今はそういう状態では無い。
あれほどいた筈の
青黒い人型だが大型で尖った印象を持つ
「直衛は魔人トリプシンと魔獅子エラスターゼ、親玉はやはり魔竜アポトーシスか。なら魔獅子エラスターゼは俺が引き受けよう」
「なら我は魔人トリプシンを」
「魔竜アポトーシスと神は任せる。振り返らずに前を征け。そしてさっさと倒して帰ってこい。俺からは以上だ」
「同じく。では参る」
「ああ」
「肩に
「ウェーブ走!」
前方左右が真っ平らになった。木々や草、岩等が吹き飛ばされたのだ。
それでも敵2体は後退しない。立ったまま親父と
「加速します!」
リサとミーツ氏は親父達や敵2体の間を加速して走り抜ける。俺達も後に続く。強烈な
親父と
それより今は俺達が対峙すべき相手の方だ。
目前にいるのは
そしてまだ姿を現していない神三柱。
俺達はそれらを倒して帰らなければならないのだから。
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