第132話 見えないのなら
四人まで残り100mと迫ったところだった。敵4人の
「そう言えばピューティアの4人はいずれも隠密持ちでござったな」
「隠密相手は面倒なんですよね。隠蔽と違って相当な高速移動をしててもほぼ完璧に姿と
シュウヘとナリマの会話。そう言えばステータスを見た時、隠密が入っていたなと思い出す。
「その代わり隠密を使用したまま攻撃や防御は出来ないでござる。あと強い
更に言うと
それではという事で、まずは最年長なりのサービスでごわす。把!」
シュウヘが
「では我はこちらの一人を相手にするでごわす」
シュウヘ、すっと加速する。
さて、俺はどうするか。シュウヘが放った音と
漫画なら心眼と称して目を瞑って戦うところだ。しかし今それをやったら自殺行為だろう。
ふっと妙な風を感じた。全力で後へと飛び退く。ニエベスの姿が一瞬見えて消えた。
なるほど、見えないだけで実体はあるから動けば風が起こる訳か。これがシュウヘが言った『そこに身体が存在する事までは消せない』だな。
風の動き、音。この2つにとりあえず集中する。なるほど、姿勢はわからないが位置はわかる。
この動きは……最短の動きで出せる程度のエアバレットを放つ。
サダハルは俺と同様、まずは周囲を観察しているようだ。ナリマは自らも隠蔽を使って対処。
シュウヘは別格。隠密だろうが隠蔽だろうが関係ないらしい。一人と戦いながらこちらを見て危なそうな時は遠距離攻撃で牽制なんて事をやっている。
敵の方は1人はシュウヘに集中。残り三人は位置によって攻撃相手を変えているという感じ。
そしてナリマは隠蔽で姿を眩ましている。自然俺とサダハルを狙う事が多くなる様だ。
サダハルも俺と同様、近くに来たのを音や風の動きで察知して避けている模様。そしてナリマは完全に隠蔽に徹し、敵三人の誰かに隙が出るのを待っている感じだ。
よし、俺は大技を使わせて貰おう。適切な位置はこの先三歩先。位置は……少なくとも敵はそちら側にはいないから問題ない。
それでは……ダッシュ! そして
俺のダッシュで風が起きた。そして起きた風を
本来は上昇気流を作る為に編み出した技だ。しかし今回の目的は風を作る事。
周囲の森林より石畳の方が温度が高い。だからこの渦巻く上昇気流は1分は持つ。
そしてその間、隠密だろうと隠蔽だろうと位置を隠す事は出来ない訳だ。この風が舞っている間は。
真っ先に反応したのはサダハルだった。俺がダッシュした時点で意図を察したようだ。
拳先に
俺は反応が遅れた一人にエアバレットを連射する。避けた時の
奴は俺から見て左回りに逃れつつ、距離を取ろうと南側、街道側を目指す。
しかし方向転換する為に僅かに速度が落ちた。事前にそうなるだろうと予測した俺の、ほんの少しだけタイミングを早く放ったエアバレットが奴に当たる。
気にせず左回りのまま避ければ奴ももう少しは逃げ切れただろう。
それに当たっても威力はあまり無い。所詮連射しまくれる程度のエアバレットだから。
しかし当たった事で一瞬奴は動揺、もしくは考えてしまった。動きが一瞬分遅れた。そこを俺のエアシェルが襲う。
このエアシェルもそこまで強力ではない。エアバレットに近い動作と早さで出せる程度のものだから。
しかしこれでロドニー、体勢を崩した。速度が更に落ちる。俺が続いて撃ったエアシェルに対して
一方、俺はロドニーが防御したエアシェルを撃った直後にダッシュをかけている。
イメージにあるのはフローラさんの得意技。通称『ただただ速いダッシュで敵の死角から全力で突っ込むだけの技』。直撃寸前に拳に
ロドニーは姿勢的に手や腕で防御できない。それでも奴は
奴の腰、背中側中央部で
しかし俺の体重とぶつかってきた速度のエネルギーを無かった事には出来ない。
俺の拳が酷い事になっている。しかしこれはまあ、何か最近のお約束。
問題はロドニーの方だ。ちょっとヤバい部分を攻撃してしまった。これでは今後、立って動く事すら出来なくなる。
現に横倒しになってうめいている状態だ。
「大丈夫です」
すぐ近くで声がした。確認しなくても声と
「これくらいなら何とかなります。先程ミーツの言った通り、即死以外は我らの神力で治療・回復は可能ですから」
ロドニーが静かになり、動かなくなった。
「脊椎や付近を通る神経、血管等は修復しました。あとは本人の能力の回復で治療可能でしょう。ただ激痛が伴うのは確実なので、眠らさせていただきました。
よろしいでしょうか、そちらの方」
俺以外は勝負がついていた。倒れたまま動かないのが3人。そして怪我こそないが戦意喪失という感じの女子1人
その女子、メグナは頷いた。
「それではいつも通り、治療・回復したら先へ進みましょう」
既に俺は
これに成長痛が加わる。キター!
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