第125話 詰んでいそうな事態
いずれにせよやらなければならない事は明らかだ。
「つまり僕とサダハル、シュウヘ先輩、ナリマの4人で神と戦わなければならない訳ですか。リサやミーツさんが勝てなかった相手に」
4人と言ったのはミトさん達を巻き込まない為だ。どう考えても危険というか洒落にならない事態だから。
「ええ。しかし今回の戦いは814年の戦いとは違います。聖戦布告がされてしまったからです」
どう違うのだろう。
「元々は愚か者が保身の為に聖戦布告の意味を深く考えずに発出しただけだ。
しかし聖戦布告とは最終戦争を始める宣言ともなる。故に発出した
「決着がつくのが遅れるほど、戦いは広まっていくでしょう。現在は一部の者しか聞こえない神々の命令も、より多くの者へより強力に届くようになります。放っておくとやがては全ての人、魔獣、悪魔が戦う事になります」
「最終戦争として
止めないと最終戦争に突入してしまう。逃げ場は無い。そういう事か。
そして逃げ場が無い状態ならば。
「被害が出ないうちに神本体を目覚めさせるしかない。そういう事ですか」
リサは頷いた。
「その通りです。この状況ですとあと半日後、ビルダー帝国風に言えばステルム地方、
この戦いに関与して神々の関心を引きつけること、それによって神々を顕現させ戦う事。その戦いで神々を覚醒させる事。厳しいですがそれ以外に活路はありません」
無茶苦茶厳しい。神を引っ張り出して、なおかつリサやミーツ氏以上の戦いをしろというのは。
俺だって自分の実力くらいわかっている。確かに同学年と比べればかなり上だろう。
しかしそれ以上の
そして184年当時のリサやミーツ氏の実力はそれ以上だった筈だ。何せリサ、筋肉貴族に最も近い女性とまで言われていたのだ。今も俺が全てのステータスを読み取れない状態。
だから自信はない。ただ他に選択肢は無い。多分に詰みという気がする。前世のゲームなら他のセーブデータを呼び出すかくそゲー認定して投げ出すか。
ただ逃げ出す先がない。逃げ出した場合の結果は世界の終わり。
「こういった事態はいつか来ると思っていた。シュウヘやナリマをそれに備えて鍛えていたのも事実だ。仮想敵を神力全開の僕自身として、それすら凌駕出来る様に。
ただこの時が予想以上に早過ぎた。そう感じるのは確かだ」
「それでも勝ち目がないとは思いません。いえ、この事態が今、起こったという事もかつての神の計算ではないか。そうとも感じるのです」
どういう事だ。どう考えても詰みではないのか。そう思いつつ俺はリサ達の言葉を追う。
「確かに今現在の皆さんの力はそこまで強くはありません。184年当時の私やミーツより下でしょう。
ただし皆さんはまだ当時の私達よりずっと若い。大人で既に肉体的に完成していた私達と違い、まだまだ成長期です。おそらく可能性の一つはそこにある」
「戦いによって成長させてかつての僕やリサを超える。おそらくそれが
そしてそれ以外の打開策も準備されている。
希望はあるという訳か。理解はした。無茶苦茶か細い希望ではあるけれども。
「背景説明は以上です。これから私とミーツでシュウヘ、サダハル、ナリマ、スグルの4人を戦場となるだろう場所へ案内します。
申し訳ありませんが他の皆様はここフィジークで待っていて下さい」
「各自行くべきと思っている事情は把握している。しかし僕やリサは連れて行くという選択をとれない。
かつて184年の戦いで数多くの仲間を失った。その思いを君達にさせる訳にはいかない」
ミーツ氏の言葉の後、沈黙の間が周囲を包んだ。何が起こったかは今までの説明で既に全員がわかっている。
そして、その間を破ったのはミトさんだった。
「
一呼吸ほど置いた後、ミーツ氏がまず口を開いた。
「わからない。神力を持ってしても掴めない。なぜなら
「184年の戦いは魔竜アポトーシスを先頭とした
あの時点で既に
その後
「本来、この世界を司る三柱の神の間ではある程度の意思疎通が可能な筈だ。
しかし
しかし
なるほど。他の神にすらもはや意思が確認出来ない状態という訳か。
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