第27章 非常事態!
第116話 非常事態
ブートキャンプも五日目になってしまった。明日で終わり、明後日で帰らなければならない状態だ。
訓練内容そのものは満足している。俺がやっている内容は実戦形式の模擬試合で、相手は俺と同等に
しかも今日の午前10時からはついに一学年上、中等部1年との合同
ただ中等部1年の班、そこまで強くはない。シュウヘ以外は初等部班の方が強いのではないかと感じる位だ。一応
ただしシュウヘ、今日は何かいつもと違う感じがした。あとはサダハルもだ。
2人とも地力があるので強い事は強い。今日の相手がそこまで強くなかった事もあって負けることなく試合をこなしてはいた。
それでも何か精彩を欠くというか今ひとつというか。何かぱっとしない感じを受ける。
なお俺が今日戦った相手はロドニー、カズヨシ、そして中等部一年のトシヒデ先輩。
この中で一番手強かったのはカズヨシだった。
◇◇◇
「はじめ」
開始と同時にカズヨシが姿を消す。動いている方向はわかるが何処まで行ったのか確信を持てない。
「フロントラットスプレッド!」
飛び退きつつ最短モーションでエアバレットを連射。反応がない。不意に右前の景色に違和感。左へダッシュし逃げる。
なるほど。発見するより早くこっちに忍び寄ってくる。隠蔽をかけたままでもそれなりに速く動けるようだ。これは戦いにくい。というか攻撃を仕掛けられない。
対抗策はある。空中戦だ。空中なら
しかしそれでは面白くない。これは模擬試合で
今までの地点から少し離れた場所にダッシュで移動。
この方が
来た。俺の右側だ。蹴りとか拳とかではない。もっとゆるりとした動き。おそらくは投げるか落とすかといった技狙い。
そう言えばカズヨシの称号に寝技王なんてのがあったなと思い出す。なら倒してからが奴の本領という事だろうか。
面白い。俺も寝技は得意だ。まともな技もエロい技も。ならここで勝負させて貰おう。真の寝技王はどちらかを!
右腕を取られた。そのまま関節を決めて倒そうとするつもりのようだ。ならば。俺は倒そうと引き込む一瞬前にわざと思い切りよく跳躍させて貰う。
勢いよく前に倒れる形になる。
勿論俺の姿勢は不安定。だから持ち上がるのは一瞬だけ。しかしそれでいい。これだけ接近していれば俺自身以外であっても姿勢の制御は出来る。
奴も背中から倒れ込んだ。俺も前のめりに倒れたが、それでも姿勢の違いで一瞬速く起き上がれる。
触れる距離なら見えなくても姿勢はわかるし技も仕掛けられる。だから馬乗りになって奴の左腕と首を固めて押さえ込む。いわゆる縦四方固めという奴だ。
「破!」
カズヨシが
「そこまで」
ここでストップがかかってしまった。残念だったが時間切れのようだ。蹴りや打撃、遠距離技以外の攻防なんて久しぶりで楽しかったのだが仕方ない。
やはり俺はこういった組んずほぐれつという戦いの方が好きだ。相手が男でも女でも。
◇◇◇
更にトシヒデ先輩と戦う際は、シュウヘのリクエストもあって途中から50m程飛び上がって、上空からの攻撃なんてのも披露。
そんな感じでまあ、それなりに満足いく
カーン、カーン、カーン、カーン、カーン、カーン、カーン……
突如鐘の音が鳴り響いた。起床時で5回、通常の日課時限を知らせる時には2回しか鳴らない鐘が、連続で鳴らされている。
「確か鐘が連続で鳴るのって、非常時だよな」
「ああ。全員可及的速やかに第一グラウンドに集合だ」
「何なんだよ、非常時って」
そう言いつつも、とにかく第一グラウンドに向かう。最初のオリエンテーションで聞いた通り、来た順に六列で整列。
昼食前でどの組も訓練が終わっていたのだろう。集合は結構速い。五分もしないうちに全員が揃ったようだ。ミトさん達の
前にイタロ指導員が立った。
「突然だが、今日の午後の自由外出は中止とする。また明日の合宿終了後も西岸中部以外の者は安全が確認されるまで延泊となる可能性が高い」
延泊は別にかまわない。俺はまだフィジークでムフフを堪能していないから。自由外出中止では延泊出来ても意味がないけれど。
いや問題はそういう事では無い。何が起きた結果こうなっているのかだ。安全が確保されるまで、とはどういう意味なのだ。
「情報は錯綜している。だからとりあえず判明している事だけをここで話す。
① 聖教都市国家レプチン及び
② 何故か
③ 両教団の修道士20余名がフィジーク政庁へ押しかけ直接筋肉審判請求を行っが、
④ 両教団の一部が各地で聖戦を訴えている。
⑤ 周辺の街外で
わかっている状況は以上だ。
各国から預かっている
此処は公国内にあるがどの勢力からも独立した安全な場所だ。食料もそれなりに確保してあるから心配いらない」
何かとんでもない事態になっているようだ。
そして説明の途中でサダハルの
何だ、何が起こっている!
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