第108話 見張りの正しいまき方?
ナリマからの話については、サダハルやミトさん達には相談しなかった。相談した方がいいかしない方がいいか、具体的に聞いてから判断しようと思ったからだ。
昼食を食べた後、すぐに出て行く
門の所には誰もいないように見える。しかしよく見ると微妙なちらつきを感じた。あれだな。見当をつけた後、そちらをあえて凝視しないようにしながら近づくように歩く。
門を通り過ぎちらつきの前で立ち止まって、呟いてみる。
「さて、次はどっちへ行った方がいいですか?」
「やっぱり気づいたか。流石だね」
予想通り返答があった。もちろん周囲に聞こえないよう小声だ。
「ちょっと面倒な連中がいる。でもとりあえずあまり気にしないで、このまま東門を出てアメイワ方向に行ってくれないか」
「了解です」
ここで人が少ない方向というと……まずは東側の街道へと入って海側から離れる方向へ。わざと右へ左へと角を曲がって追跡者がいるか確認。
いるな、2人ほど。知らない
処罰を免れて逃走した
もう少し人がいない場所へ行ったらステータスを確認しよう。ステータス閲覧をするにはしっかり直視する必要があるが、今の状態でそうすると追跡に気づいていると言っているようなものだから。
東門が見えてきた。この門を出たところで道は2つに分かれる。右が公都アメイワへ向かう道で左がグランドスウェルを経由してビルダー帝国へ続く道。
独り言っぽく言ってみる。
「そろそろ追っ手を確認していいですか?」
「そうだね。この辺なら警備
「わかりました」
それではという事で足を止めて振り向く。後ろの交差点端に1人、更に後ろの建物影に1人。
『サドクエ・シジルム 29歳 身長170.1cm 体重63.8kg
筋力65 最大72
特殊能力:聴音1+ 隠蔽看破1+ 称号:
『イカーハア・ブホウーイイ 25歳 身長165.9cm 体重55.2kg
筋力55 最大61
特殊能力:聴音2+ 称号:
称号で立ち位置はまるわかりだ。なおステータスはあまり高くない。
「どちらもそちらのお客様ですか。追跡担当と監視・報告担当といった感じですね」
「ああ。こちらを始末すると言うより追跡・確認するという組み合わせだね。引き連れていても害はないだろうけれどさ。面白くないから撒いてしまおう。アメイワまでちょっとだけ速く走って」
「わかりました」
こちらの門は開きっぱなしだ。一応警備
ただ警備
「それじゃ行こうか」
「そうですね」
ナリマのステータスなら遠慮する事は無いだろう。そう判断し、俺は一気に加速する。ここは平地で道路幅が広く舗装状態もいい。だからある程度は本気で飛ばせる。
全開近い速度で飛ばしても回復と持久を少しだけ意識しておけば問題ない。そしてナリマは問題なくついてきている。そして追っ手2人の
人の
こちらの門も開けっぱなしだ。公都なのに大丈夫なのだろうか。
「フィジークは街門は開放しているのが普通なんですか?」
「この辺は魔獣が出ないし敵対している国家なんてのも無いしさ。ただ西海岸でもフィジークくらいだね、どの街門も開放しているのは。北は魔獣や狂信的
「あちこち行っているんですか」
「基本的には書物の知識さ。フィジークより南はフィットネス連合、つまり
さて、街に入ったし腕章は外しておこう。あと僕は再び隠蔽を起動させて貰うよ」
ナリマがすっと姿を眩ませる。慣れた感じだ。俺もよく見ないとどの辺にいるかわからない。
「とりあえず公立図書館に行こう。あそこは比較的安全だ」
公立図書館か。サダハルあたりがいそうだなと思う。
「安全なんですか」
「フィジークは中立だが寛容という訳じゃない。政府機関等は少しでも特定の宗教に対して有利な事を行ったと見なされれば公職を追われる。重要ポストだろうと受付担当だろうとだ」
俺は思わずビルダー帝国と
「賢明ですね。ビルダー帝国はついこの前、ひどいことになりました」
「ああ。それでも普段僕が住んでいるレプチンよりはましさ。何せ半ば宗教都市だからね。学園長が反主流派だから僕も何とかなっているけれど」
反主流派か。似たような話を聞いた覚えがある。
「シュウヘは嘆き派と殲滅派と言っていました」
「今の教団の主流は殲滅派さ。台頭してきたのはここ20~30年くらいの事らしいけれど」
前にも思ったがやはり
「ビルダー帝国では
「似たような事を、だね。組織の形が
その辺も図書館で説明するよ」
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