第24章 堕神の申し子⑶
第107話 疑問
30km持久走は11分7秒だった。俺としては悪くない数値だと思う。途中の折り返し地点で減速してまた加速するなんて中でのこの時間なのだ。
ちなみに
第4位、11分フラットというタイムを出したのは西岸中部ブロック出身のタカヒロ。そして第5位は11分4秒というタイムで、同じく西岸中部ブロック出身のナリマ。
勿論二人ともステータスを確認させて貰う。タカヒロの方は
問題はナリマの方だ。
『ナリマ・ツシン・ヤー 9歳 筋力81 最大115
特殊能力:回復5+ 持久5+ 隠匿+1 ステータス閲覧 前世記憶
称号:
そしてこのステータスから判明した現時点における問題。それは全ての能力が俺と同等以上という事ではない。怪しい称号てんこ盛りという事でもない。
ステータス閲覧能力があるという事だ。
つまり奴は俺やサダハルのステータスを閲覧可能。ただそれが今、この合宿でどのような意味を持つかはわからない。
サダハルは気づいて居るだろうか。おそらく気づいているだろう。なら午後の自由時間で相談をしておこう。そう思った時だ。
その当人がこっちに近づいてきた。まずい、こっちのステータスに気づかれたか。
いや、別にまずくはない。こっちに不利な事も隠すべき事は無いから。ただ現時点で話すべき話題が思いつかない。いずれ情報交換をする必要はあるのだろうけれど。
さて、近づいてくるけれど目的は俺かそれとも他の
「やあ、スグル君だね。話はシュウヘ先輩から聞いているよ」
シュウヘの知り合いだったようだ。選出ブロックが同じだし、確かに可能性としては充分考えられる。
「シュウヘさんのお知り合いですか」
「ああ。シュウヘ先輩とは同じ学校でさ。レプチンの学校は強い
レプチンはそれほど大きい街ではない。山岳の一都市のみの国だから人口はせいぜい一万人程度。
さて、それはそれでだ。何の用だろう。ただの挨拶なのか、それとも……
「突然だけれど今日の午後、空いているかい。ちょっと手伝って欲しい事があってさ」
いきなり用件が来た。
「今日の午後は空いています。ですけれど、手伝いとはどんな内容でしょうか」
「
僕は立ち位置からか常日頃教団に狙われているんだけれどさ。最近どうにも煩くなってきて。だからそろそろ始末をつけておこうと思った訳だ。
ついでに彼から知っている情報を一通り聞いておきたい。ただ僕やシュウヘ先輩はそういった事が得意ではなくてね。その辺にスグル君の手を借りたい訳だ」
状況は理解した。以前の俺に起きたのと似たような話だ。ただこれだけの話では動けない。
「もう少し状況説明が欲しいところです」
「当然だね。しかしこれ以上は立ち話では何だ。だから自由時間にもう少し詳しい説明と、その説明が事実であるという証拠を確認して貰おうと思っている。
実際の決行は明後日の夜さ。此処の指導員として教団の暗部が2人やってくるから。シュウヘ先輩にも協力して貰う計画になっている」
なるほど、それなら問題無い。それにシュウヘが協力するというのならある程度信じていいのだろう。
そして状況の把握は当然必要だ。ならば。
「わかりました。それでは午後、話を聞きましょう」
「ありがとう。それじゃ昼食後、南門を出た辺りで待っているよ」
何だか予想外の展開となってしまった。しかしこれで
そう思って、そして俺は気づいた。俺は単に筋肉の頂点マッチョ帝を目指そうとしていただけの筈だったと。
なのに何故
だいたい俺には何の使命もない筈なのだ。勇者召喚に巻き込まれた結果、勇者と同じ恩恵を持ってはいる。しかし使命等は無くただ自由に生きれば良い一般人。それが俺の立ち位置だった筈。
それにしては色々と巻き込まれている。それに
何かがおかしい。そんな気がする。
もし俺の召喚が単なる事故でなかったとしたら。破壊者という存在が本当に俺を指していたのだとしたら。ならば……
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