第106話 体力測定中に
カズヨシのステータスを見て危険な予感がしたので、班の他の
確認して良かった。注意した方がいい称号があったのだ。
具体的には西岸北部ブロック選出のニエベスとメグナ。この2人に『称号:
西岸の中部から北は
しかし申し子疑惑というのは……。イストミアの4人にある『破壊者疑惑』と同じ匂いがする。
ならイストミア聖学園に相当する施設が
ただ
これは午後の自由時間に調べてみる必要がある。
本当ならヤリモクビーチに直行したいのだが仕方ない。この関係で知らない事があると後に問題が起きそうな気がするからだ。サダハルを誘って図書館に行くのが正しいだろう。
そんな事を考えつつカズヨシと雑談しているとこんな話になった。
「ところでさ。折角フィジークの、それも開放的な事で知られる本場ビーチブレイクに来たんだ。折角だから夜に抜け出していいところへ行かないか」
おっと、こいつもそんな事を考えていたか。
「難しいと思います。夜でも先生達が6人宿直で泊まって、どの時間でも2人は起きて
あと自由時間等でも街門より南側のビーチに行かないよう見張っているようです。
「詳しいな。早速試したのか、ひょっとして」
「昨日此処へ来る前にビーチブレイクの街を南へ向かって歩いてみました。最低でも見張りは2人はいて交代制でついているようです」
これくらいは情報公開していいだろう。
なお危険性等については昨日のオリエンテーションで指導員から十分に説明を受けている。今更ここで言う必要は無い。
「なるほど、合宿開始前ですらその体制か。燃えるな、これは。是非俺の実力が通じるか、試したいところだ。
これでもこっそり動くのは得意でさ」
カズヨシ、俺の話でむしろ脱出に向けて燃えてしまった模様。エロ目的から脱出そのものが目的となってしまった気がするのは気のせいだろうか。
しかしカズヨシにとってはそれも自然なのだろう。何せ
あ、まさか、称号の寝技王が意味するのは、ひょっとしてエロ方面的な意味の……。
「なら今日の自由時間に何処まで南に行けるか、まずは俺一人で調べてみるぜ。情報提供感謝だ」
「吉報を期待しています」
とりあえずヤリモクビーチへの行き方調査についてはカズヨシに任せよう。俺以上の手練れという可能性も高そうだし。称号と
さて、雑談しつつ体力測定項目を一通り終えた。ただし最後に持久走が残っている。これは全員で一度に測定するようだ。
「それでは持久走だ。まずはコースを説明する……」
説明によると持久走の距離は30km。この合宿所の東門から出てすぐの元旧街道で実施するそうだ。
新しい街道が出来た為、この元旧街道は使われなくなった。なのでこういった時の為に
「道幅は片側3mしかない。だから追い抜かす時以外は極力左側を走るように。あと出発は班ごとで、3分おきに出発する。
それではあと5分で1組から出発だ。各自、自分の班の順番が来るまで適度に準備運動をして待つように」
俺は5組だから出発まで20分程ある。なので屈伸や伸脚等、軽く運動しながら雑談を続ける。カズヨシは女子の方へと行ったので、今度は西岸南部ブロックのヒロキとだ。
「クレアチンから来たんですか。大陸最南端だけれどどんな所なんですか?」
「ここより少し涼しいですね。海流の影響でしょうけれど。あとは風が強いと言われています。一年中西風が吹いていますから。
だからタイムアタック用の短距離走路は必ず南北を向いているんです。風でタイム差が出ないように」
「そこまでなんだ」
「僕達は慣れていますからね。そんなものだと思っていますけれど」
そんなところで航空力士的に戦うと大変そうだななんて事を思う。いや、落下のエネルギーを使って位置調整なんて事は出来なくも無いか。
あと、話しながら同じ班のニエベスとメグナの方をそれとなく観察。申し子疑惑なんてステータスがある2人だ。
見ると他の班の1人と何やら話し合っている。ステータスを確認。7班のロドニーで、やはり申し子疑惑というステータスがある。
ただ勇者関係の称号は3人とも所持していない。その辺はソウ達と違うようだ。
なんて事を考えつつヒロキと話していると指導員の声がした。
「それでは1組、集合」
何となくそっちを見る。おっと、1組にはエレインさんがいる。10kmを超える距離なら元五班女子の三人でもエレインさんが一番速い。
さぞかし早く帰ってくるだろう。30km、それも途中折り返し有りという条件でも10分かからずに帰って来そうだ。
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