第101話 堕神の申し子
なおシュウヘの方は既に相手を倒していた。念のためそっちの方もステータス確認をしてみる。
『フィリペ・トレド 30歳 身長180.3cm 体重78.1kg
筋力139 最大192
特殊能力:波乗り4+
称号:フィジーク公国
案外今日からの前泊の受け入れ担当要員なんて可能性もある。受付開始前にちょっと暇つぶしという感じで街に出てみたとか。
とりあえず何も気づかないふりをして礼をして試合場から降りて受付へ。五連勝の賞金を受け取って、そしてシュウヘとこっそり善後策を練ろうとした時だ。
「やあ、強いな、2人とも。その年で
「2人ともブートキャンプの参加者か? そちらの君は格好からしてそうだろうけれど、そちらの大きい方の君も」
逃げ遅れた。そう思ってももう遅い。まあどうせブートキャンプで会うだろうし、完全に逃げ切る事は不可能だったのだろうけれど。
ここで誤魔化すのは悪手だろう。仕方ない。
「ええ。僕は初等部戦抜です」
ポケットに入れておいた腕章を取り出す。
「我も中等部1年戦抜でごわす。集合はまだ先ではあるが、本日は旧知の彼に久しぶりに会いに来たで候」
さて、指導員2名はどう出るだろうか。
「今年は優秀そうだなあ。例年早めに来たブートキャンプ参加者がここで遊んでいたりするからさ。今回もいたなと思って遊ぶつもりで出てみたけれど、想定以上だった」
「ああ。まさかここまで
「遠距離攻撃も使いこなしているようだし。今年のブートキャンプのプログラム、少しは修正した方がいいかもな。
参考までに一緒に勝ち残った参加者、どれくらいの割合で遠距離攻撃を使えた?」
「まあここで長話も何だろう。ちょっとその辺の店に入ろう。
ブートキャンプ前泊の受付開始までまだ2時間はあるし、そちらの君も地元ならまだまだ大丈夫だろ? 勿論こっちからおごるからさ」
どうやらガブリエル氏が先に話してフィリペ氏が補足するという形で話しかけるパターンのようだ。この2人の場合は。
それにしてもこんな形で逆ナンにあうとは予想外だ。相手は男だけれど細マッチョ系だし尻も引き締まっているしいい感じだ。
いや違う。でも悪い感触ではない。少なくとも今の試合で勝ってしまった事はマイナスにはなっていないようだ。
「わかりました。ありがとうございます」
当初予定で期待していた逆ナンではないけれど大人しくついていく。
木造で壁の板部分が白、柱部分を緑に塗ったおしゃれっぽいレストランへ。来た店員さんに慣れた感じでガブリエル氏が注文。
「アサリのチリ・ニンニク・牡蠣ソース煮2人前、ボカロタ2人前、アボカド入り魚サラダ2人前」
「飲み物は乳清ドリンクでいいか?」
俺とシュウヘが頷いたのを見て、フィリペ氏が続いて注文。
「マヒマヒタコス3人分、あと乳清ドリンク、大ジョッキで4つ。あと取り皿8つで」
店員は一度ひっこんだ後、すぐにジョッキと小皿をを持って来た。それらを皆で配って、そしてガブリエル氏が口を開く。
「あとは適当に食べ物が来るから各自自由につついてくれ。遠慮は無しだ。足りなそうなら適宜注文する。
さて質問だ。2人とも
俺とシュウヘが両方頷いたのを確認し、ガブリエル氏は更に質問する。
「今回の戦抜、
「拙者のブロックと学年では5人中2人が遠距離攻撃まで使え申した」
シュウヘ以外にもいたのか。そう思いつつ俺も口を開く。
「僕のいた初等部選抜では女子は5人全員、男子は10人中6人が遠距離攻撃を使えるようです」
「昨年より多いな」
「ああ。年々増えている」
フィリペ氏とガブリエル氏はそう言って頷き合った後、ガブリエル氏が俺達の方を見る。
「5年前は
そんな感じでブートキャンプ参加者で
「勿論その事自体は悪いことじゃない。しかしこうも増えてくると何かあるのかと気になってくる。十年前位には
「聞いてみると教わった先などはそれぞれ別々だ。
ただ最近になって急激に増えている。だからつい何かあるんではないかと気になってしまう」
「世間の噂にある
破壊者は知っているが申し子というのは初耳だ。
「その申し子とか破壊者というのは何なんですか?」
諸々気づかれないよう、あえて破壊者の方も含めて聞いてみる。
「どちらも似たような話さ。
どちらも二十年程前、神の最終顕現時になされた預言が元らしい」
「まあその前は両神の分身が現れるなんて預言もあった。ただ実際にはその後音沙汰無しだ。だから申し子や破壊者も多分何もないと思う」
「
そしてブートキャンプ運営としてはは毎年レベルアップする
なるほど、申し子か。あとで図書館で調べるなりシュウヘに聞いてみるなりしておこう。
あと念のためシュウヘのステータスをもう一度確認しておく。
『称号:
やはり申し子は入っていなかった。シュウヘではなく別に存在するようだ。もしも本当に存在するならばだけれども。
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