第88話 隣の最強決定戦
ソウはカウントが終わった後、自力で立ち上がってきた。心配はいらないようだ。
試合終了の礼等をしながら俺はサダハルらの試合場の
試合場から出てすぐサダハルらの試合を確認。向かい合った状態で互いに遠距離攻撃を撃ち合っている。威力は俺の全力エアシェルの半分程度。ただ2秒に3回程度で連射しているので他の行動に移りにくい。
サダハルは超加速を使える。横移動して避ける事は可能だ。ただしそうした場合、ニールの攻撃は次の移動後の場所を狙ってくる。サダハルは更に移動して避けざるをえない。
そうなった場合いずれは追い詰められる。試合場はそれほど広くないし、移動中に放つ遠距離攻撃では停止して構えて撃っているニール以上の速度や威力で撃てないから。
ただしこの事はニールにも言える。サダハルの遠距離攻撃、少なくとも今はニールに負けていない。だからニールとしても戦法を変えて攻めるのは難しいだろう。
つまりは膠着状態というやつだ。ニールかサダハルのどちらかが連射速度か威力のどちらかで今を上回る遠距離攻撃を仕掛けない限り。
そして今の速度と威力がおそらく最適解。だから筋肉と
ただし2人にはまだ余力があるように感じる。今撃ち合っている威力と速度も俺から見て限界ではない。それにこの程度の威力なら
そしてニールには特殊能力がある。一時強化と疑似回復が。
だから試合は動くだろう。どちらが仕掛けるかはわからない。ただ仕掛けるとしたら時間切れが近くなってからだ。
「残り30秒です」
ニールの
サダハルが放ったエアシェルがニールの遠距離攻撃と当たり炸裂して消えた。しかし威力が大きいニールの遠距離攻撃は完全には消えずにサダハルの方へ。
サダハルは発射速度が速いエアバレットを放って押し返してきた遠距離攻撃を相殺。しかしその間に今までにはなかった空白時間が出来た。
その時間を使ってニールは更にモーションが大きい、つまり威力も大きい遠距離攻撃を放つ。同時に遠距離攻撃の後を追うようにダッシュをかけてサダハルの方へ。
サダハルもここで違う動きに出た。両手を広げ、上から円を描くようにして
ニールの遠距離攻撃が届く直前、サダハルは両腕を中央であわせて掌を前に向け、押し出すように前へと踏み出した。ポーズそのものはか○は○波に似ている。練りまくった
これは間違いない。サダハル独自の
ただこれは遠距離攻撃ではない。掌に込めた
サダハルが更に前へと踏み出した。掌がニールの遠距離攻撃と衝突し爆発。しかしそれでも込めた
その時にはニールもよろけつつ立ち上がって構えていた。8メートル程度の距離を置いて向き合う姿勢に戻る。
再び両者の間で遠距離攻撃の撃ち合いが始まった。今度は距離が短いせいか速い攻撃が主体だ。両者の中間地点で
カンカンカンカンカン。爆発音が続く中、鐘の音が響いた。
「やめ!」
引き分けだ。
ただ実際はどっちが優勢だったのだろうか。考察するが結論は出ない。
現時点で余力を残しているのはまちがいなくサダハルだ。ニールはほぼ限界という感じに見える。
ただしニール、まだ特殊能力の一時回復は使っていない。そちらも使えば巻き返せる可能性は十分にある。
いずれにせよ、なかなかに凄まじい試合だった。俺は半分しか見ることができなかったけれど。
「お疲れ様。なかなか厳しい試合でした」
戻ってきたサダハルに声をかける。
「仕方ない。それだけの相手だった。そっちは?」
「勝ちました。何とかって感じですけれど」
これで40分程度俺もサダハルも試合はない。そして俺もサダハルも回復の恩恵持ちだ。後に残している相手はそれぞれ強力だけれど、体力や
「しかし今の技、始めて見ましたけれどかなり凶悪ですね。遠距離技と違って放出しないから、
「接近戦用のとっておきだ。最後の必殺技くらいのつもりだったんだけれどな。まさかスグル以外に使うとは思わなかった」
おい待てサダハル!
「僕に使う気だったんですか」
「授業での模擬試合ならともかく、本気のスグルを確実に仕留めるならこれくらいの威力は必要だろう。回復力が強靭過ぎて相当なダメージを与えない限り立ち上がってくるから。
前の試合では空中戦になって使えなかったけれどさ」
確実に仕留めるならこれくらいの威力が必要か。そのままサダハルに返してやりたい位の言葉だ。
何せサダハル、俺と同等の
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