第86話 第5回戦前
結局今日は俺とサダハル、ミトさんは全勝。フローラさんは5勝1敗。エレインさん4勝2敗。
フローラさんの1敗はイストミア聖学園のナタリアさんによるもので、エレインさんの2敗はナタリアさんとミトさんによるもの。
結果、女子の方は既に、トップがミトさんとナタリアさん、ついでフローラさんとエレインさん、そしてヴィヴィアンさん、更に他の
下位4名は足切りとなるので女子で明日の第五回戦に進めるのは合計12人。
「このままで行けばなんとか戦抜には勝ち残れるかな。あくまでこのまま行けば、だけれど」
「同意。でも油断禁物」
一方男子の方は人数が多い為、まだ直接対決が済んでいない部分が多い。
今日の試合で全勝だった俺、サダハル、ニール、ソウの4人は総当たりで戦えば6戦ある筈だがまだ2戦だけ。おそらくこの辺りの潰し合いにならないように第4回戦の組み合わせを決めたのだろう。
そして……
「ここまで15戦して3敗で済んでるのかよ。相変わらずマサユキ、えげつない戦い方しているよな」
「勝てなくても負けない。それが僕の基本方針だから」
マサユキ、俺とサダハルを除く1組男子では今のところ最高位だ。
「えげつないよな。負けたのはイストミアの2人とサダハルだけだろ」
「あの辺は筋力速度ともに化物レベルだから。あとは明日辺りありそうなスグル戦もしんどい」
「でもイストミアの連中の遠隔攻撃も避けていただろ」
「遠隔攻撃は出す前の動きをよく見れば避けられる。そこまで範囲が広い攻撃ではないからさ。相手と僕を結ぶ直線の90度、270度方向なら3歩程度で範囲外だ」
マサユキは今日、ハツヒコと戦って引き分けに持ち込んでいる。ステータスではハツヒコの方が圧倒的に上にも関わらず。
別ブロックなので試合は見ていない。それでもどういう戦いだったのかは学校の授業等から想像できる。
絶妙な間合いと位置取り。どんな体勢からでも敵の攻撃を回避出来る柔軟性。相手の攻撃機会を潰し勝つ戦いより負けない戦いを徹底する姿勢。
一見でそんなマサユキの戦法を見切るのは困難だ。ハツヒコもそれでマサユキを攻めきれなかったのだろう。
そんな感じで男子順位は俺、サダハル、ニール、ソウがトップグループ。以下イストミア聖学園のヤスシとハツヒコ、次いでマサユキ、コウイチ、アキノブの1組上位勢あたりが第二集団という感じだろうか。
第三集団はチョージ達で本日2勝している辺り。そしてその下が本日の足切りラインとなる。1勝から0勝の8人となる。
残った男子
◇◇◇
そして第五回戦。今日は男子も女子も1ブロックだけ。ただ男子は人数が多いので試合場を2つ使うようだ。審判も試合場2つに配置している。
ただ待合場所は1箇所だし、順番になれば呼び出しがあるようだ。だから試合場を間違えたりする心配は無い。
受け取った組み合わせ票を確認。第2試合場の第1試合が俺とイストミア聖学園のソウ。なおサダハルは第1試合場の第1試合で、イストミア聖学園のニールと対戦。いよいよ決戦だ。
「せめて順番がズレていたら観戦して研究出来たんだけれどな」
全くもってサダハルと同意見だ。
「それでも実際に戦えば嫌でも相手の実力はわかるわよね。イストミアとの事実上の頂上決戦かな。女子の方は引き分けだったけれど」
「女子の方は……言ってはなんだけれど、今日はおまけみたいな感じだ」
サダハルの言うとおりだ。12人で1ブロックだけれど、今までと違い総当たり戦形式ではない。それぞれ2回くらい試合すれば正規の試合は終了だ。あとは合宿枠ギリギリの同順位者を選抜する決定戦のみとなる。
そしてミトさん、フローラさん、エレインさんとも、2試合それぞれ相手はそれほど強そうな戦績の
「油断はしません。ここまで残った
「同意。でも多分問題ない」
予鈴で3人と別れ、男子
待機場所は隣り合った2つの試合場の間にあり土嚢壁沿いに長椅子が並んでいる。2つの試合場のどちらも見えるし行きやすい状態だ。
「それでは第1試合、第2試合に出場の
早くも試合準備。第二試合場の北側待機線まで移動して開始指示を待つ。
待っている間にステータスを確認。
『ソウ・ムンツァー 筋力81 最大108
特殊能力:一時強化3+ 疑似回復3+ 自己ステータス確認
称号:勇者(最終実験体)』
『スグル・セルジオ・オリバ 筋力76 最大108
特殊能力:回復5+ 持久5+ ステータス閲覧 前世記憶
称号:
昨日確認したニールほどではないが、ハツヒコやヤスシよりスタータスは上。俺と比較すると筋力がやや上で、持久と回復は俺の方が上。
ただ持久と回復は短時間で行われる試合ではあまり影響しない。だから俺が有利かと言われると微妙だ。
そしてハツヒコやヤスシより明らかに強そうな雰囲気がある。
強いて言えば称号に破壊者疑惑がないのが他の3人との違い。この意味は何だろう。今ひとつわからない。
ただかなり厳しい試合になりそうなのは確かだ。単なる予感というより確信に近い。下手に空中戦など仕掛けない方がいいだろう。そう俺は判断する。
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