第84話 第3回戦の結果
午後最初の第21試合はサダハル対ノリヒロだった。これはサダハルが圧倒的なステータスの差で押して開始後1分で終了。
そして第22試合は俺とチョージの対戦。ただチョージとは学校の模擬戦でも何度もやって強さも戦い方もわかっている。
だから残り1分で投げて動けなくなったところに気絶撃を決めて勝利。
第28試合でアキノブ戦も似たような感じだ。こちらは投げではなく掬投というか足取りで倒して背面を取った後に気絶撃。
第34試合、イストミア聖学園のヤスシとの戦いも事前に思っていた程ではなかった。
ヤスシのステータスそのものは俺より上。しかし落ち着いて戦うと
結果、
① 動かず無理せず後の先を狙う方針で待ち構え、
② ヤスシがある程度接近した時点でこちらも超加速で急接近
③ 逃げられない距離でエアシェルを放つ
ことで倒す事に成功。
なお今回はヤスシ、一時強化や疑似回復を使えなかった。使用が可能になるまでの時間が足りなかったからだ。あっさり倒せたのはこのおかげも大きい。
あとの第40試合ヒロオ戦、第45試合ノリヒロ戦も同様超加速からの気絶撃で終了。
そして午後4時過ぎ、第一ブロックの試合は全て終了する。
終わってみれば俺は8勝1分。第1ブロックトップの戦績だ。
なおサダハルも同様に8勝1分。次にイストミア聖学園のハツヒコが6勝1分2敗、同じくヤスシが5勝2分2敗、アキノブが5勝4敗と続く。
第3回戦第1ブロックで落ちるのは1分8敗のムネノリと3分6敗のヒロオ。1勝出来たかどうかが当落線だった。
サダハルのほかアキノブとチョージを含め4人で大会本部前へ向かう。他のブロックを含めた総合戦績を確認する為だ。
「それにしてもヤバいな。明日明後日で勝ちまくれないと合宿に残れない」
3勝1分5敗という戦績のチョージはちょっと焦った様子。
「俺はとりあえずギリ当選ペースか」
5勝4敗のアキノブからそんな言葉。どうも割と余裕っぽく思っているらしい。
いや違うだろ! 本当はそう突っ込みたい。しかし8勝1分の俺やサダハルがそれをやると嫌味になりそうだ。だからとりあえず黙っている。
「どこが当選ベースなんだよ。男子は4組で10人だから完全アウトだろ」
俺やサダハルの代わりにチョージが突っ込んでくれた。しかしアキノブ、調子を変えずに返答する。
「今回の第一ブロックは異常だったんだ。何でいきなりサダハルやスグルと戦わなきゃならないんだ。他にもヤバいのが2人いたし。
それを考えると実はこれでも悪くないペースだろ。違うか?」
アキノブ、自説を変える気は無いようだ。そしてチョージもその説明に納得してしまった模様。
「確かに異常なレベルだった。頼む明日明後日は楽勝であってくれ!」
サダハルと同じブロックというのは確かに大変だろう。しかしハツヒコやヤスシも強かった。そして他のブロック、特にイストミア聖学園の残りの
行くとちょうど結果を大掲示板に貼り出すところだった。そこそこ高い位置に掲示するから近くで見る必要はない。むしろ10m位離れて見た方が全体が見やすかったりする。
だから4人でちょっと離れた所から戦績を確認。
「こうやって見ると2と3は楽そうだな。どんぐりの背比べという感じで混戦だ。4勝すればいい方、ほとんどは1~2勝で並んでいる」
「うちのブロックが異常だったんだろ、やっぱり。第二ブロックだとケンジローで4勝出来ているしなあ」
アキノブとチョージがそんな事を話している。なおケンジローとはやはりクラスメイトで実力は1組では中の上、チョージと同じ位だ。
そして確かに第2,第3ブロックはそこまで強そうなのはいないように感じる。しかし……
「第4ブロックが厳しかったようだ。あと女子の方はすでに差が出ている」
サダハルの言う通り、第4ブロックにとんでもないのがいる。第4ブロックにもクラスメイトがいるので強さがわかるのだ。
「コウイチでも勝てないならかなり強いですね」
そう、第4ブロックにはコウイチがいる。奴は1組で俺やサダハルに次ぐ強者だ。筋
身体はそこまで大きくはない。しかし筋力はゴリラゴリラゴリラなアキノブに匹敵する。授業の模擬試合では俺やサダハルでも毎回わりと苦戦する位の実力者だ。
そのコウイチが4勝3分2敗。そしてコウイチに勝った2人は9勝と8勝1敗。
「コウイチで勝てないとなるとスグルとかサダハルレベルだよな。洒落にならねえ」
「あとはミトさんだよな。でも待て、ミトさんと対等なのがいる」
「というか女子はこの時点である程度決まりじゃね」
そう、女子は圧倒的な戦績が5人いる。第5ブロックはフローラさんとエレインさんが8勝1分、もう一人ヴィヴィアンという
他はどんぐりの背比べか勝利無し。だからこの5人が目立つのだ。
「何というか元五班、やたら強くねえか?」
「期末試錬のときに既にヤバかったからな。野外実習で何か……そういえば
「ああ。あれ以来元五班で合同
本当は時々ではなくほぼ毎日。しかしそこまではサダハルも明らかにする気はないようだ。
「サダハル、スグル、それにミトさんと訓練か。そりゃエレインやフローラも実力爆上がりするよな。容赦なさそうで」
「ハード過ぎて大変そうだな」
そんな事を話しているとミトさん達がやってきた。フローラさん、エレインさん、更にはレベッカ、ニッキー、レイチェル、ニコールと1組で第三回戦に参加した女子全員と一緒だ。
更には他のブロックにいた1組男子も。知っている
「どう、そっちは?」
「サダハルとスグル以外はムチャヤバい。そっちは?」
「こっちもよ。うちの学校以外にとんでもないのが4人いて、こりゃもうだめかなって感じ」
これはレイチェルさんとチョージの情報交換だ。ちょうど聞こえやすい位置なので耳をすませる。
「4人ともイストミア聖学園で、ミトっちやフローラ、エレイン以外は全滅だわ」
「こっちもイストミアの2人がとんでもなかったな。サダハルとスグル以外は全滅だ」
なるほど、戦績表で明らかに図抜けているのはやはりイストミアの
ここはもう少し正確な情報を知りたい。となるとやはりフローラさんだろう。
なので近づいて直接聞いてみる。
「女子の方はどうでした? 第1ブロックのイストミアの生徒、ヤスシは
「女子の
「同意。5ブロの3人は初見なら私とフローラで何とかなる程度」
なるほど、ミトさんと引き分けた相手はそれくらいに強いのか。
「あとは4ブロの2人が気になるよね。出せる情報はこの大会の戦績しか無いけれど」
やはりフローラさんもそっちが気になるようだ。
「明日か明後日には嫌でも当たるだろう。それで実力はわかる」
サダハルが脳筋っぽいが正しい意見。なおこのわかるというのは、戦い方でわかるものとステータス閲覧によるものと両方だろう。
五班の皆さんはその辺わかっている。他の人はステータス閲覧をカミングアウトしていないからわからないだろうけれど。
「そうですね。とりあえず今日は整理運動とストレッチをじっくりやって、あとはしっかり休むべきでしょう」
「それじゃ帰るか」
それぞれ家の方向へと別れる。
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