第63話 今回も一件落着
とにかく大変だった。
総司教を確保した後も活動は終わらなかった。そのまま施設内の他の場所の捜索に移行。関係者を逮捕したり任意同行したり、証拠となりそうな書類を木箱に詰めたりなんて作業を続けたのだ。
なお父の方の情報は捜索途中で入ってきた。
「ただただ一方的な勝負だったようです。
まずは両腕で力比べとなったのですが、すぐにデルトイド公が力負けして押し返されました。
そこでデルトイド公は腕を引っ込めて殴りかかったそうです。ですがパクトラリス侯の右平手打ちで張り飛ばされて転倒。起き上がれないままパクトラリス侯の気絶撃を受けて終わったとのことです」
うーん、仮にも相手は格上の筋肉公爵なのだ。それなのにそんな結果でいいのだろうか。
そう思ったところでガストロック伯爵が口を開く。
「マユミ殿は政治が面倒であの地位にいるだけだからなあ。中央にいなくていい」
うーん、父はどうやら俺が認識している以上の化物のようだ。リサと同様に。
捜索は結局早朝4時過ぎまで続いた。施設内にいた教団幹部のうち4名を逮捕、11名を任意同行。そして更に木箱15個分の書類を差し押さえ。
おかげで家に帰ってきた時にはすっかり明るくなっていた。
「今日は学校はお休みにしましょう。お坊ちゃまも疲れているでしょう。それに朝10時から取り調べで第二
家に帰って風呂に入り、4時間程度の仮眠。
そして朝10時にはリサと一緒に第二騎士団本部に行って事情聴取。これが食事休憩をとりつつ17時までずっと。
ケーリーへの事情聴取についてもじっくり聞かれてしまった。そこで俺はこう弁解、いや説明した。『本で読んで効果的な方法だと感じたので試してみました』と。
アレはあくまで拷問、いや事情聴取方法の為に、性癖ではなく知識と思考によって行ったもの。そういうことにしたのだ。
使用したのも手と道具であり、自分の身体を性的に使った訳では無いと。例えば挿入したのは自分のナニではなく、革製の教育用縦笛ケースだと。
この言い訳は捜索が終わって家に帰った後、眠いのに目がさえてしまって眠れない間に思いついた。
革製の教育用縦笛ケースなんてちょうどいい物があったのも幸いした。これの中にミニタオルを突っ込んで形を作れば太さといい長さといいまさにアレ。
皆が信じてくれたかどうかは正直わからない。ただ通常なら精通していないだろう六歳児が性欲でアッーしたというよりは信じやすい話だと思う。多分、きっと。
なのでこれから俺の公式見解はあくまで『性癖でも性的欲望の発出でもなく、理性的に考えた効果的な聴取手段』ということにする。
リサにはバレていそうな気がしないでもないけれど。
疲れで第三曜日は基礎
あの取り調べ方法が第二
ふと気づいて自分のステータスを確認。
『スグル・セルジオ・オリバ 筋力76 最大108
特殊能力:回復5+ 持久5+ ステータス閲覧 前世記憶
称号:
筋力が少し増えているが問題はそこではない。いつのまにかついていた妙な称号だ。
問題は恐怖の取調官(男性専門)だ。これって第二
歩いている最中にミトさんやサダハルの
色々あった気がした。事実色々あった。しかし今回の事案そのものはケーリーから襲撃を受けた第1曜日の下校時から逮捕・捜索差押終了の第2曜日早朝までの半日程度だけ。その前の襲撃とあわせても1週間かかっていない話だったりする。
たったそれだけなのに、随分と日常と離れていた気がする。何というか妙な感じだ。
ミトさん、そして向かいの家からサダハルが出てきた。
「あ、スグル君、おはよう。どう? 大丈夫ですか?」
良かった、いつものミトさんだ。
「ええ。事情聴取があったので一昨日は休みましたけれど」
「リサさんから学校を休むけれど心配いらない、そう聞いてはいたんです。ですが更に襲撃に遭ったり教団本部への捜索に同行したりしたと聞きましたし」
どこまで事情を聞いているのだろうかと不安になる。でもミトさんの態度から見るに妙な事まで聞いてはいない感じだ。
問題ない、そう思う事にする。下手に聞いて墓穴を掘っては洒落にならないから。
「大丈夫です。昨日しっかり休んだので、もう問題ないですから」
「それにしても
これはサダハルだ。実際新聞等では号外まで出して騒ぎ立てている。
教団主流派がツィーグラー派残党の組織を引き継ぎ、
そして更には総司教のハーレムなんてのまで報道されている。某新聞によると寵姫が12名いてとっかえひっかえヤっていたそうだ。
何というか……俺なら女だけでなく男も入れたい。しかしそれはそれで閨が無法地帯になってしまうかもしれない。だがそれもイイ……なんて邪念が入ったりもする。
あと第一
なお俺達を追撃してきたサトウリアス男爵は主流派ではなく、おとがめも無いようだ。俺達への襲撃も
このことに何となく俺はほっとした。何というかあの人、憎めない感じがしたのだ。お馬鹿だけれど、いやそれだからかもしれない。
「ミトさんのところも大変でしょう。お父さんが第二
「一昨日から家に帰ってきていないです。でもスグル君のところの方が大変なのではないでしょうか。今回ブランチチェーン規定を行使した本人ですから」
いや、それはない。リサに聞いて俺は顛末を知っている。
「ロイシンや北部地方が心配だからと昨日朝には帰ったようです。実際は報道だの政治だのが嫌いだから、という理由みたいですけれど」
面倒な事は全部第二
「第一
「でもまあ、これでこの国が正常化するならいいのではないかと思います。うちの父を含め関係者は当分の間、大変だと思いますけれど」
「確かにそうだな」
サダハルに続いて俺も頷く。
「そうですね、僕もそう思います」
せいぜい関係者の皆さんには頑張って貰おう。父は逃げたようだけれども。
俺もまだ一介の初等部
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