第60話 作戦
「さて、ここからはスグルに説明だ。
実は当初から教団やデルトイドは怪しいという疑いがあった。この辺りは俺より第二
なるほど。
「デルトイドも当然その事は気づいているだろう。だが奴が第一
だからスグルはどうやって口を割らせたのか。その辺は大いに興味がある。この後間違いなく発生する教団関係者への尋問に使える可能性が高いからな」
ちょっと待って欲しい。あの方法、イカせ隊的拷問手段を父に知られるのは流石に……
「あの方法は誰もが使えるとは思えません。また法に触れる拷問以上に扱いには慎重を期す必要があります。
詳細は後ほどという事で。取り調べの録音を聴けばおわかりになるでしょう」
……リサ、俺が何をやったのか把握済みのようだ。あの録音を聞いたのだし当然だろう。
俺はこういう場合どういう表情をすればいいのだろう。少なくとも『笑えばいいと思うよ』ではないのは確かだ。
「それでは今夜の作戦について話そう。
確実に押さえなければならない目標は2名。1名はもちろん第一
勿論その下にいる幹部連中も確保する。しかし最重要なのはトップの2名だ。
確保活動は第一
私は主力及び立合者のハムストリング侯爵とともに第一騎士団隊長舎へ赴き、ブランチチェーン規定行使を宣言する。
スグルとリサはガストロック伯爵が率いる第二
初等部6年までの学習範囲にはないが、一応知っている。
「逮捕の要件としてその地区を統括する
「……冗談で聞いたんだが本当に知っていたか。逮捕要件なんて初等部どころか中等部でも習わない範囲だろう」
父め、俺を試したな。
「
「いや、普通そういった専門関係は
リサ、ガストロック伯爵は知っているな」
父の奴、ごまかしやがった。
まあ確かに筋肉刑事訴訟法の条文を学習している初等部生なんていない。俺もたまたま読んだ娯楽本で出てきて知っていただけだ。
「はい。存じ上げております」
「北門から入ったらリサとスグルはそのまま
「わかりました」
この世界随一の大教団の最高責任者を逮捕か。間違いなく大捕物だ。そう思って、そして気づく。これこそ預言の『既存の教団を壊し』じゃないだろうかと。
いや違う。単に今回はトップや教団の一部が腐っていただけだ。教団そのものを壊すつもりじゃない。
そもそも俺には
だからきっと今回の件も預言とかとは一切関係ない事態だろう。
だいたい俺はまだ6歳なのだ。あと2ヶ月で7歳になるし飛び級で初等部6年にはなっているけれど、それでも
しかも仕掛けたのは俺じゃ無い。暗殺者を何人も送り込んでくる教団の方だ。つまり俺に責任はない。向こうが全部悪い。
だから今回は気を楽にして見物に徹しよう。そう思えば楽しみな面もある。
本当は上級筋肉貴族同士の戦いの方を見たかった。それに父が心配ではないというと嘘になる。
しかし今回は筋肉刑訴法の逮捕要件なんてものがあるから仕方ない。それに父の方は大丈夫だとリサが太鼓判を押していた。リサの言う事だから信じて大丈夫だろう。そう思うことにする。
それに俺達の方の相手は
ならこちらだってそれなりに参考になる戦いが行われる筈だ。特等席で観戦できるのだし今はそれに期待しよう。
もちろんこっちが負けるとは思っていない。当然第二
当然門を警備している
「距離100mで一度停止してブランチチェーン規定の行使を宣言する。それが第一
通じても通じなくても? どういう事だろう。
走る速度が落ちる。そして俺達は門の前100mのところで停止。
俺はリサの腕から下へと降りた。揺られていたせいで少しふらつくがすぐに元の感覚に戻る。
「トリプトファン北門を警備する第一
私が本人である事を
うおっ! 洒落にならない! 父の奴、いきなり問答無用の一撃を放ちやがった。
警備の騎士団員がバタバタ倒れる。そりゃそうだろう。前方で爆弾が炸裂したようなものだ。まともな人間が耐えられる訳はない。なまじ鍛えていて
確かに父が言った通りになった。通じても通じなくても門を通れる状態には。
しかしこれでいいのだろうか。俺は疑問に感じる。警備が全滅しては門が危ないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます