第58話 預言の内容
リサの話はなおも続く。
「
ですが当時枢機卿第三席で後に失脚したレイモンド・ブルックスが出した暴露本に、真偽は別としてこの時の預言内容とされるものが記載されています」
教団の暴露本か。図書館で探した時には気づかなかったなと思う。後で帝立図書館で確認してみよう。
それはともかく預言だ。先程のリサの話から預言の内容にはまず、分身を近々アナボリック世界に送るという内容があった筈。
しかし……俺は気づいている。ケーリーから事情聴取した際、預言として聞いた内容を。きっとこの預言と同じだ。
「待った。そこから先はまだ知る必要が無いだろう」
父が待ったをかけた。
「そもそもあの暴露本が正しいとは限らん。それに20年近く前の事だ」
「ええ。ですがそれで動いている者もいる。それに私がこれ以上教えなくともお坊ちゃまはご存じです。違いますか?」
おそらく答えはこれだろう。俺はケーリーから聞いた言葉を口から出す。
「はか、い、しゃ、ですか」
「知っていたか」
父の言葉にリサは頷く。
「ケーリーから事情聴取をしたのはお坊ちゃま自身です。私は手を貸していません。
そしてケーリーはかなり踏み込んだ内容まで吐いています。第一
お坊ちゃまが聴取をそのまま蝋管録音に残しています。ある程度はテレタイプで内容をお伝えしましたが、詳細については録音内容を精査された方がいいと進言します」
「そこまでやったのか、スグルが」
「ええ。ですからいっそ全部を話した方がいいと私は判断します」
父はふうっとため息をついた。それにしても時速200km/hレベルで走っていてこれだけ会話したりため息までついたり。この2人の呼吸器系や循環器系はどうなっているのだろうと疑問に思ってしまう。
なお部下の皆さんは普通にマラソン的な感じで呼吸をしている。走っている速度は異常だが父やリサ程の化物ではないようだ。
まあ成人男性を背負って走っている2人は充分化け物の部類ではあると思うのだけれど。
父は更にため息をついて、そして話し始める。
「わかった。既にスグルが知っているだろう事も含むだろうが、ひととおり順を追って話すことにしよう。
そう言っても俺もかなりの部分は伝聞でしか知らない。20年前は俺も新人
どこまで順を追って、そして何を話すのだろう。預言というか預言だけという感じでは無い気がする。
それを夜間、街道を猛速度で走りながら、しかも俺自身は走らずにリサにお姫様抱っこされた状態で聞いている状態。
色々シチュエーションが間違っている気がするのだ。しかし折角の機会だから異議を挟む訳にはいかない。
「まずは最後の顕現とその際にあったとされる預言についてだ。
立ち会ったのは教会のごく限られた上層部、そして先代マッチョ帝タツノリ・ロニー・コールマンだけとされている。
公式な発表がない以上、内容は先程リサが言った暴露本、そしてツィーグラー派を取り締まった際の捜査情報から伺うしかない」
つまり真実はわからない、そういう前置きだ。しかし捜査情報なんてものまである以上、単なる噂以上の確度はあるという事だろう。
「最後の預言の内容は、大雑把にまとめれば3つだ。
その前にまず前提だ。かつて
いきなりとんでもない話になった。ならば……
俺は思う。俺を召喚した時の
「その『神の病』によって
その影響で
実際
つまり現実は預言どおりに進行している。
「それでも
故に
これが第二の預言だ。この分身が誰かは今もって諸説ある。リサがこのせいで苦労したのはさっきリサ自身が言った通りだ」
ひょっとして。俺はリサのステータスを確認してみる。
『リサ・クロス・※※※ 19歳 身長160.1cm 体重57kg
筋力※※※ 最大※※※
特殊能力:速度2+ 回復1+ 神の残光5+』
今まで隠されていた特殊能力が見えるようになった。とんでもない名前の効果不明な能力が。
何というか、やっぱりリサ、
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