第46話 協力者候補
「という事は、サダハル君は
フローラさんの質問にサダハルは頷く。
「ああ、生まれる前だけれどな。ただこの記憶を思い出したのは6歳の時だけれど」
「うーん。なら取り敢えずはお告げがあるまでは普通に
「同意」
フローラさんの言葉にエレインさんも頷いた。なら取り敢えずの問題はなさそうだ。
なら俺も言っておくとしよう。
「実は僕も似たような記憶があるんだ……」
◇◇◇
勇者召喚時の事故に巻き込まれて転生した事。おかげで勇者と同等の能力を持つこと。
更にはツィーグラー派の残党に襲われた事まで、全部話した。結果……
「うーん、つまり理由はわからないけれどスグル君は
俺は頷く。
「ええ。僕も理由が分からないのですが、2回狙われた以上注意する必要があるようです。だから図書館。あるいは学校にもそういった残党がいる可能性があるので当分は注意しようと思っています」
「何というか一気に色々聞いて頭がパンクしそうだけれどね。取り敢えずわかった。
それに今の話であの時
「強いて言えば残党の襲撃部分が別口。でも注意する必要があるのは理解」
フローラさんもエレインさんも理解してくれたようだ。
「それにしても
サダハルがこういった話題に興味を示すのは予想済みだ。
「ただ外でおおっぴらに調べるのはやめた方がいいです。僕みたいに襲われる羽目になる可能性がありますから」
「学校図書館を調べる分にはどうだろう。そういった本が本棚にあるかどうか。学校に残党がいるかどうか、ある程度の目安になるんじゃないか?」
確かにそう言われてみればそうだ。帝立図書館ではそういった本は閉架に仕舞われていた。学校図書館でもそうなっているだろうか。
いや帝立図書館では本の廃棄に面倒な規則や手続きがある。だからあれらの本を廃棄ではなく閉架に押しやったのだろう。しかし学校図書館はそういった手続きは大分甘い。だから閉架に仕舞われるのではなく捨ててしまっている可能性が高い。
それでももしそういった本が残っていれば……学校に残党がいないという目安にはなるだろう。
いや、でも待てよ。
「あえて
俺より速くミトさんがこの事に気づいたようだ。
「ああ、確かにある。でもだからこそちょうどいいんじゃないか? もし襲われたら
サダハル、こういった問題は脳筋的に考える癖がある。でも甘い。
「危険です。スグル君に聞いた隠蔽のような技を使って近づかれたら対処できない可能性があります。それに残党が2人以上いる可能性だってあります」
俺の懸念をミトさんが全部言ってくれた。サダハルが苦笑いを浮かべる。自分の間違いに気づいたようだ。
「確かにそうだな。ただ
「興味があっても
ミトさん、それは甘い。
「これでも
僕が
確かに勇者なら気になるだろう。何せ自分の使命の前提に対する疑義だ。
「私は反対です。敵が動いている時にわざわざ危険を冒す必要はないでしょう」
「その分
失敗した。そう俺は気づいた。サダハルがこういう反応をするのは予想がついていた。そして調査をすれば敵に気づかれる可能性が高いこともわかっていた。
どちらもわかっていたのにこの2つを結びつけて考えなかった。
仕方ない。ミトさんに心配させない為にもここは妥協案を出しておこう。
「学校の図書館で、自分の手で調べるのはやめた方がいいでしょう。わざわざ危険を増やすのは愚策です。僕が言えた義理はないかもしれませんけれど」
「しかし僕自身の事でもあるんだ。調べない訳にはいかない」
サダハルはそう主張するだろう。もちろんそれは予想の範囲内だ。
「わかっています。勿論調べます。ただ、僕達だけで調べるのは危険です。
だからここは人の手を借りましょう。上手くいくかはわかりません。ですが利害が少しばかり一致して、協力してくれるかもしれない戦力が学校内に1人います。勿論僕の予想通りだったらの話ですけれど」
そう、ケリー先生だ。もし彼女がこの件で
なら協力してくれる可能性は充分にある。勿論話の持って行き方次第ではあるだろうけれど。
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