第45話 サダハルの告白
なるほど。おそらくリサが打った手というのはこれだな。臨時で開かれた朝会で俺はそう思う。
「まずは本日から当課程に配置となった先生について紹介します」
「はじめまして。ケリー・ギャレットと申します。前任は大学部研究科で生理学を……」
身長は女性とすればやや高め。そこまで強そうには見えない中年女性だ。
しかしきっとこの先生がリサが打った手なのだろう。確認のため、お約束通りステータスを見てみよう。
『ケリー(ケーリー)・ギャレット 35歳 身長170.1cm 体重58.2kg
筋力121 最大199
特殊能力:隠蔽1+ 聴音2+ 称号:
やはりそうだ。ステータス上はかなり強い。年齢もあるのかもしれないけれど、筋力以外はショー先生より上だ。
称号に
大学部研究科からではなく
しかしそんな
あと名前に微妙なところがある。本来はケーリーなのだがあえてケリーと名乗っているようだ。
実はこの辺りの理由、俺にはわかっている。ステータス閲覧スキル、使いまくった為か最近は数値的な情報以外も色々と情報を見る事が出来るのだ。
でもその辺はまあ、今後必要になった時に考えればいい。世の中には多種多様な人の有り様がある。その事は俺自身がよく知っている事だし。
「ケリー先生には理科専門を担当していただきます。それでは……」
朝会は先日の実習で発生した事案と経緯についての説明に移る。事案に直面したのは6年性の
事案の概要。該当
そして実習資材や食料を
朝会を聞いていて思う。こういう話、全員集めて講堂でやるのはあまり良くないのではないかと。
これだけ集まっていて、そして体育座りなんて集中できない姿勢で聞いていると頭に入らないと思うのだ。
ただ先生側とすれば全員に説明1回で終わる分、楽なのだろう。
全員が理解しなくてもかまわない。説明したという事実があればいい。そういう理屈で考えれば合理的なのかもしれない。
◇◇◇
朝会で第1時限が潰れた他は、いつも通り第6時限まで授業があった。
ただし予想通り補習は中止。だから5班全員でサダハルの家へと向かう。
「そうか、サダハル君の家ってお手伝いさんと2人暮らしなんだ」
「ああ。父も母も基本的にはバリンで商売している。ただこっちにも来ることがあるから家も持っていて、寮の代わりにここから通ってる」
父が筋肉貴族である事は言わない方針のようだ。
それとも後で他の事と一緒に説明するのだろうか。
「それにしてもこの時期に先生が来るって珍しいよね。誰か休みに入る予定でもあるのかな」
「不明。今のところ情報無し」
「そうですね。何か理由があるのかもしれませんけれど、今はまだわからないです」
サダハルは何も言わない。きっと奴もステータスを確認して、新任のケリー先生が
また俺が襲われたという事も朝、話している。だから既に俺と同じ結論を出していてもおかしくない。
サダハルの家は元々学校から400m位。話しながら歩けばすぐだ。
見たところ俺が住んでいるのとほぼ全く同じ感じだ。やたら広い庭、2階建ての普通の家。きっと同じ規格で建てているのだろうか。それ位に同じ。
サダハルは奥から人数分入りのドリンクと茶請けを持ってきた。ドリンクは冷たいお茶で茶請けは鶏肉ジャーキー。何というか健全でいい。
「うちのお手伝いさんには訳を話して1時間ほど買い物に行って貰っている。だからサービス的な物は何もないけれど、今は何を話しても問題ない」
「それで話せなかった事って、何なのかな?
フローラさん、シュウヘの口上を覚えていたようだ。
「まさにその事だ。簡単に言うと僕は
あの
「勇者?
そう、
この国では
「勇者は国ではなく
サダハルの説明に、フローラさんとエレインさんは首をかしげる。
「うーん、私は聞いた事無いなあ」
「初耳」
2人がそう思うのも当然だろう。なぜなら……
「ええ、私も調べてはじめて知りました。なぜなら
勇者の認定には、
① 教会に勇者が出現したというお告げがあり
② そのお告げを元に勇者を探し出し
③ 聖地ベニスビーチに出現する試練に打ち勝つ
という3段階が必要です。また試練は勇者が聖地へ行くまでは現れません」
「
だから厳密にはそれまで僕は勇者じゃないんだけれどさ。一応生まれ変わるときに
あの
たまたま僕の
あの
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