第37話 ひとまず色々一件落着?
『俺はスグルだ!』
それに
『違う。
そう、
『
そんな自分を変えるため最初は水泳部、次は空手部に身を置いてみたがうまくいかない。ならばと一人で身体を鍛えてみたがやっぱりうまくいかない。これならどうだとステロイドを使った結果声が甲高くなって後頭部に小さいハゲが出来た。
ジムやプロテインや薬剤に使ったせいで金がなくなった。仕方なくやったバイトのせいで顔が妙に知られてしまい、一般企業への就職がしにくくなった』
自分の事をこんな風に言うのはなかなか苦しい。俺自身までダメージを食らってしまう。しかし説明の都合上仕方ない。
『そんな人生を変える絶好の機会が来た。異世界転生だ。
そこで
『
抗議を無視して俺は続ける。
『転生しても
そこまで
その結果思考が二重化した。
『
先ほどから反論らしい反論もない。自分がスグルであるという主張だけだ。
『
しかしある程度経って気づいた。
『何故そう言える』
そう考えた材料は幾つか存在する。
『まず1点、
例えばある植物を見た時、この植物は何だっただろうと考える。そうするとスグルが学んだ内容と
『
論拠なしの弱々しい反論は無視して次の説明へ。
『第2点。実際
今度は
『そして第3点。本来のスグルの一人称は僕だ。俺は
ふうっ。脳内で
『それでも
ただもし俺が
そう来たか。
『
そして既に
それでも
突如俺は理解した。そうか、そういう事だったのか。
『おいどうした。
『どうやら
『なんだって!?』
『あとは自問自答しろ。
そう、俺は
ただそれでも不安があった。本当に
あと俺がミトさんに好意をもったりリサの全裸にどぎまぎした理由もわかる。
以前の
しかし本当はそれだけではない。実は元の
実は
なら何故
何というか、我ながら面倒くさい奴だったなと思う。まあ元の
なんて思ったところで、遠くから声が聞こえた。
「ヤー! 実習中の
ショー先生の声だ。大声スキルで実習範囲全体に届かせている。拠点から結構離れたここでも割と大音量で聞こえているのだ。拠点近くではさぞかしうるさいだろう。
俺は立ち上がる。うん、流石
それでは戻るとしよう。俺は涸れ川を下流に向けて走り始めた。
◇◇◇
中級とは言え
ほとんどの
しかし俺達5班の皆さんだけは解散後、事情聴取が待っていた。実際に
全員一緒に聴取ではなく1人1人部屋をわけ、別個に
俺は、
① サダハルの
② まずはサダハルと戦って、サダハルを圧倒
③ 次に俺と戦ったが、空中で何とか奴を捕まえた俺が至近距離からの
④ その状態で水中へ落ちて相打ち状態となり、
という風に供述した。
前世とか勇者とか
俺が特別だと思われたくない。今の世界を壊したくない。俺は今の俺に満足している。だからだ。
正直嘘のシナリオを考えながら矛盾無く喋るのはなかなか疲れる作業だった。
聴取が終わって部屋を出る。5班の皆は誰も残っていない。どうやら俺の聴取が一番時間がかかったらしい。
ミトさん達やサダハルへの事情聴取はどうだったのだろう。誰か前世だの勇者だのなんて会話について、話してしまっただろうか。
事情聴取がある事は想定していた。だから本当は学校へ戻る途中、どこまで話して何を話さないか、話をあわせておきたかった。
しかし帰り道は先生達や
勇者だとか恩寵持ち、前世の記憶持ちという事がバレないだろうか。今の生活が一気に変わってしまわないだろうか。そんな不安でいっぱいのまま最低限の荷物を持ち、教室を出る。
学校の玄関から外へ。校門に向かってあるくと知っている
「お坊ちゃま、お帰りなさい。お疲れ様でした」
リサのその言葉で全身の力が抜けた。今まで緊張その他で持たせていたのだが、それが解けてしまったのだ。結果俺は倒れかける。
リサはさっと俺を支えてくれる。俺はリサに甘えそのまま身体を委ねた。
今くらいはいいだろう。俺としても精神的体力的に限界だったし。
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