第21話 班分けの決定
バランス重視か。そうなると俺は避けられる可能性がある。
何せ俺はほとんどの
そして身体の大きさというのは案外重要だ。拠点建築等の作業は身長があった方が圧倒的に便利だし、人力車を引くにはそこそこ体重があった方がいい。
残念ながら筋肉量だけでは超えられない壁だ。
それならどうしようか。といっても積極的に輪の中に入っていく度胸や要領は
『俺は関与しないぞ』
「スグル君はどこか約束していますか?」
ミトさんが後ろを向いて俺に尋ねた。
「いえ、ないですけれど」
「なら私やフローラ、エレインと同じ班はどうでしょうか?」
なんて言っているうちに女子があと2人やってくる。今の話に出ていたフローラさんとエレインさんだ。
「勿論いいですけれど、女子3人なら男子は大柄な方がいいんじゃないですか?」
こら
「理由は簡単だよ。魔物討伐で速度重視にしたいから」
「ただ足が速いだけでなくて、私たちのペースと合わせられる人がいい。だから男子の中ではスグル君がベスト」
フローラさんとエレインさんが続けて説明。そして
『ミト・アレクサンドラ・シュラスコ 筋力52 最大62
特殊能力:有酸素活動範囲2+ 速度2+』
『フローレンス・グリフィス 筋力66 最大77
特殊能力:速度1+』
『エレイン・トンプソン 筋力60 最大65
特殊能力:速度1+』
なるほど、全員速度の特殊能力持ちだ。持久の値も高い。この能力を使って走り回る作戦という訳か。納得だ。
「ならよろしくお願いします。僕の方は組むあてがなかったので」
これは
「ところであと1人は誰ですか?」
「僕だ」
サダハルがミトさんの前の席からこっちを向いていた。なるほど、そう来たかと納得する。
『スグル・セルジオ・オリバ 筋力63 最大87
特殊能力:回復5+ 持久5+ ステータス閲覧 前世記憶』
『サダハル・ジェイ・カトラー 筋力78 最大103
特殊能力:回復5+ 持久5+ ステータス閲覧 前世記憶』
俺もサダハルも速度の恩恵は持っていない。しかし俺の場合は持久75と回復90のおかげで時速120km/hでずっと走る事が可能だ。能力的に俺以上のサダハルも当然同じ事が出来るだろう。
そしてサダハルの体格は他の男子とそう変わらない。皆より3歳年下なのに。うらやましい限りだ。
『良かったなスグル、ミトさんと一緒で』
確かにその通りではある。しかしそれを
『
『14歳未満は範囲外だ。将来を期待できそうな奴はいるがな』
邪な雰囲気がするのでそれ以上は聞かない。
「ところでスグル君やサダハル君は魔物や魔獣を相手にした事、ある?」
フローラさんの質問、どう答えようかと思っているうちに
「トリプトファンへ来る途中で倒したゴブリンとスライムくらいです」
ゴブリンもスライムも倒したのは街を脱走した時だ。移動した時では無い。
それに休養日にはリサに壁の外へ連れて行って貰って討伐なんて事もしている。トリプトファンから1時間以内の場所に出てくるゴブリン、コボルト、角兎、魔鹿、魔猪といった魔物や魔獣は倒した経験もある。
『その辺は言わない方が無難だろ。休日に家に来られてもまずいしな。だから無難に移動中だけした』
「街道はほとんど魔物が出ないと聞いた気がするけれど?」
フローラからそんな突っ込みが入る。俺はぎくっとしたが
「魔物相手も経験という事でわざと道から逸れたんです。一緒にいた人が討伐許可証を持っていたので」
「いいな。私はまだなんだよね」
「でもスライムやコボルト、ゴブリン程度なら、このクラスの
「そうだとは思うけれど、やはり経験があるのはうらやましいよね」
「同意」
「そうですね。初等科
その気持ちは
「僕もまだだ。でも今回の実習で思い切り試せるんだろう」
サダハルもまだだったというのは意外に感じる。こっそりやっているだろうと思っていたから。
ただサダハルの言葉を聞いたフローラさんは首を横に振る。
「そうなんだけれどね。ただ実際はそうもいかないらしいのよ。先輩から聞いたんだけれどね。
「だから魔物を見つけたらとにかく急行して討伐数を稼ぐ。そのために班は速度重視。それが私達で立てた作戦」
フローラさんとエレインさんの説明。そして私達で立てた作戦という事はだ。
「前からこの実習に対して作戦を練っていたわけですね」
「そーゆーこと。初等課程における一大イベントだからね。出来ればスライムじゃなくてゴブリンやコボルト辺りの魔物を倒したいじゃない」
俺は学校に慣れるだけで割と手一杯だ。しかしフローラさん達はこの学校6年目。だから行事予定を把握しているだろうし、次の行事に向けて作戦を立てたりなんて事も自然なのだろう。
「ヤー! 班員が決まったところは報告に来るように」
先生から指示が出た。
「行ってくるね」
フローラさんが立ち上がる。
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