第18話 勇者の疑問、もしくは神の陰謀
先ほどのミトさんと同じ場所にもっと大きめの男子
「気づいていたか。これでもミトさん同様、
確かに上手く
「ええ、その通りでしょう。現にこの3人は気づいてなかったようですから。
ところで召喚勇者として、何か僕に質問があるのではないでしょうか?」
この台詞も勿論
「そう、僕は
まあそうだろうなと思う。俺は
『この辺の説明その他は
『ああ。俺としても奴に聞きた事があるからな』
なら
「僕の存在は勇者召喚の際の事故の産物です。勇者召喚の際に手違いが生じた。そう
「そう言えば聞いた気がする。迎えを寄越したが一足先に僕が死んでしまった為、回収に苦労したと」
『それがわかっているなら話は早い』
「ええ。その為に勇者を回収・確保する予定だった妖精が目標を見失い、代わりに別人を確保してしまいました。それが僕です。
「なるほど」
サダハルは頷いて、そして続ける。
「それで
「ええ。とくに言われませんでした」
「そうか」
サダハルはそう言って、そして倒れている3人の方を見る。
「何故僕と同じ恩恵を持っている君がいるのか、それは今の説明で理解した。
でもそれなら君は他の世界からの転生者で、そういった世界の常識も持っているのだろう。
だとしたら彼らに対するこの扱いは少々手厳し過ぎないか? 君ならこの3人くらい
『その通りだ、だがな』
「その場合あの3人は僕との実力差に気がつかない。馬鹿に対しては馬鹿でもわかる方法で教えるのが親切です。
それにビルダー帝国、そしてアナボリック世界的には筋肉での決定こそ正義。異世界での記憶が無い限り、疑問を感じる事は少ないでしょう。違いますか?」
サダハルは苦笑した。何というか年齢にふさわしくない感じだ。
「確かにその通りかもしれないな。ただそれに気づく君は此処と常識が違う異世界の出身で、実際はやり過ぎだと思ってもいる。違うか?」
「その通りです。しかし郷に入っては郷に従え、僕の記憶の中の世界にはそんな言葉があります」
「その通りだな」
サダハルは頷いた。どうやら納得したようだ。
なら会話はこれで終わりだろうか。そう思ったところで彼は再び口を開いた。
「さて、それでは次の質問だ。スグル君は異世界の記憶がある者として、この世界に不自然さを感じないかい?」
『確かに俺の記憶からみると異常な世界だがな』
「世界が異なるという事は常識もまた異なるという事。今はそう考えています。ただ具体的に不自然さを感じた部分について教えていただければ、僕なりのコメントはお返し出来ると思います」
「用心深いね、スグル君は。なら僕から言おう。
この国では
これら2柱は絶対神でも創造神でもない。そのくせ信仰形態は一神教的になっている。スグル君はこの事に違和感を覚えないかい?」
予想外の方向から意見が飛んできた。それは
「フィジーク公国は
「ああ。それでも今の僕が調べられる範囲では
僕は思う。本当は他に隠された神、もしくは神々がいるのではないかと。何かとんでもない秘密が隠されているのではないかと。
神が実在するのはスグル君も知っている通りだ。なら
陰謀の香りがする。そこまで行かなくとも何かあるような気がする。スグル君はそう思わないか?」
『確かにそうだな、理解は出来る』
この件については
筋肉こそがこの世界の絶対論理である以上、
しかし
ただ
「他に聞かれたら異端審問でも受けそうですね」
「その異端審問という発想そのものが異世界的だろう。少なくとも今のビルダー帝国では聞かない言葉だしさ」
なぜなら異端いう言葉は
かといって
『確かに
「神については確かにそうかもしれません。ただ今の段階で答を出せる問題では無いでしょう」
「それはそうだ。そう簡単に解けるようならこの世界もとっくに違う常識になっているだろう。
ただもし答えを解く鍵があるのなら、それはこのビルダー帝国では無い。フィジーク公国か、さもなくば
「遠いですね、入校したばかりの
この場合の遠いとはきっと距離的な意味では無い。行くのが困難だという意味だろう。
どちらも義務
「ああ。しかし僕は知りたい。この違和感が単なる気のせいなのかそうでないのかを。
だから勇者としての公認を目指すのが当面の目標だ。勇者なら許可なしで自由に動けるようだから。
さて、常識外の会話はここまでのようだ」
どういう意味かは
「興味深い話が聞けました」
「そう言ってもらえれば幸いだ」
『かもな。それにあの尻はいい。もう少し育てば極上の絞まりになるだろう』
俺の気のせいだけならいいのだけれど。
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