第4章 試験を受けよう
第10話 堕神の飽食?
まず
結果、移動以外で30分もかかってしまった。
「お坊ちゃま、面倒をおかけして申し訳ありませんでした」
いや、リサが謝ることじゃない。
「仕方ないでしょう。
「いえ、本来はこの程度の目撃・処理事案、10分もあれば終わる筈です。筋肉採用で事務能力がない者でも処理出来るように書類が出来ていますから。
担当の
そうなのか。
「なら何故3倍も時間がかかったんだろう」
「担当者の能力不足です。書類を見ると筋肉と
第一
結果、
リサ、けっこう厳しい。元
なお
『俺からみると、これでもかなり早く済んだという感覚だぞ。単なる関係者の事情聴取でも出身地やら卒業学校やら全部聞いて、4時間5時間かかるのは当たり前だったからな。
あと確かに担当者、引き締まったいい尻をしていた』
いずれにせよ終わったらどうでもいい。いや、ちょっと気になる事を思いついたからおまけで聞いてみる。
「第一
リサは頷いた。
「ええ。足だけ速い第二
こんな感じです」
うーむ、
「それではお昼を食べに行きましょう」
「店で食べるんですか?」
「ええ」
楽しみと同時に不安になる。
実は俺、外食をした事がない。出かける時は弁当だし、それ以外は全部家だ。
それに外食に批判的な意見が多い事を知っている。客を増やす為に味ばかり重視して栄養バランスが悪いとか、その味も濃すぎるとか、危険な食材を使っているとか。
例えばパンケーキという堕落の食べ物があるらしい。炭水化物と脂肪を混ぜて焼いたものに、ほとんど糖分というソースと、牛乳から乳清を取った残り滓であるバターという脂肪のかたまりを載せて食べる代物だそうだ。
『日本では結構人気があったぞ。その上に更にホイップクリームを載せたりもする』
ホイップクリーム! 脂肪分の塊に糖を加えて泡立てたという不浄の食べ物か!
やはり
「外で食べて大丈夫なんですか?」
「外食にも様々な店があります。
本当にそうなのだろうか。それは
歩いてみるとトリプトファンの街、外見上ははロイシンの街とそう変わりない。石畳の道路、石造りの頑丈な3階建てくらいの建物、所々にある水場。
そんな中を歩いて行くと外食関係の店が並んでいる一角に出た。先程思ったパンケーキ、更には
「あんなメニューを堂々と出しているような店、そのままにしてもいいのでしょうか」
「チートディに食べるなら問題ありません。それにカロリーが足りず筋肉が消耗しそうな時、疲労して消耗しきった時にも有用です。
それに誰しも筋肉貴族や
理屈では確かにそうなのだろう。しかし俺はいまひとつ割り切れない。
「ただこれから私達が行く店はそこまで
確かに2軒先の上の方にある大きなMが描かれた赤い看板には見覚えがある。
「確かにロイシンでも見た気がします」
「手軽で便利です。注文は私がしますからご心配なく」
大丈夫なのだろうか、まともな食べ物が食べられるかという意味で。
吹き抜けになっている昇降口で3階へと跳躍。赤白の服と黄色い上着で筋肉を隠した赤髪白肌の人形が立っている入口から中へ。
中はカウンターで受付する形式でそこそこ人が並んでいた。そしてやはり
列が進んで、そして俺達の番になった。
「ローストポークガレットの昼マッスルセットを2つ、どちらもマッスルシェイクと蒸し野菜で」
「ローストポークガレットの昼マッスルセット、マッスルシェイクと蒸し野菜で2つですね。
リサが支払っている間に対応しているのと別の店員が料理を用意してカウンターに出す。
見た感じでは確かに健康に悪く無さそうだ。蕎麦粉のガレット、脂身がまったく見えないローストポーク、キャベツと人参とブロッコリーの蒸し野菜。
確かにこれなら問題はないだろうと思う。ローストポークや蒸し野菜にかかっているソースが少し気になる位だ。
■■■ 蛇足の用語解説 ■■■
○ レップ、レップス
ビルダー帝国の金銭の単位。感覚的には1レップス=日本の10円程度。
なお地球の筋肉鍛錬業界では、『トレーニングを行う回数』をレップ数と呼ぶ。例えばベンチプレスを10回=10レップ。
〇 ドナルド(ランランルー)
このビルダー帝国でのドナルド設定は以下の通りとなっている。
『
なおこの話の元については『ドナルド ランランルー 伝説』で検索の事。一部の人以外は知らない常識? に巡り会えるかもしれない。
〇 昇降口
ビルダー帝国で階段に相当するもの。吹き抜けになっていて、各階にジャンプ及び着地用のスペースが設けられている。慣れた人は1階から3階へ一気にジャンプして移動する。
なお跳躍力に自信がない人用に半階分ずつの段になっている部分があるのが普通である。
学校で上履きをはき替える場所ではないので要注意。
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