エピローグ すべての冒険者に祝福を!
この日、冒険者ギルドに新たに登録を済ませた、一人の新入り冒険者がいた。
まだ少年の面影が色濃く残る、年若い青年だった。
田舎から出てきたばかりというのが丸わかりの格好で、見ている方が緊張してしまうくらい、挙動も落ち着かなげだった。
ギルドの受付嬢、レベッカは終始笑顔で彼に対応する。
「はい。鑑定が完了しました。マルクさんの初期クラスは
「
レベッカの言葉を聞いたマルクという名の青年は、あからさまに落胆していた。
「そんな……。俺、モンスターと剣で戦う戦士に憧れて冒険者になったのに、よりによって
八つ当たり気味にレベッカに詰め寄るが、彼女にとっては慣れっこだった。
笑顔を少しも崩すことなく、明るい声のまま返す。
「
いまのマルクにとっては、その笑顔すらどこかうっとうしく感じられた。
「でも……
「そんなことありませんよ」
笑顔のまま、レベッカはきっぱりと否定する。
思わぬ断定にマルクは首をかしげた。
「
「ソロ!?
マルクに問われ、レベッカの笑みが「待ってました」とばかりに一段深くなった。
「少々長くなりますがよろしいですか?」
その笑みには妙な迫力があった。
「……始まったよ」
「レベッカちゃん、冒険者マニアモードになるとマジで長いんだよな……」
けれど、その声はカウンターにいる二人には届かなかった。
レベッカは、古今東西の伝説的な冒険者達について熱く語りはじめた。
吟遊詩人の
しかし、詩人とは違い、彼女の言葉には一切誇張も虚飾もない。
ただ、冒険者ギルド受付嬢として培った知識に基づいて話す。
そして、最後はマルクへの具体的なアドバイスで話を締めくくった。
その異様な熱気に気圧されながらも、マルクは心に希望が湧いてくるのを感じていた。
「不思議だな。あんたの話を聞いてたら
「はい! その意気です」
レベッカはガッツポーズ一つ作り、
「あ、申し遅れましたが、わたしは当冒険者ギルドの受付嬢をしています、レベッカと申します! これからあなたのご活躍を全力でサポートしますので、遠慮なくなんでも相談してくださいね!」
満面の笑顔とともに、元気よく一礼した。
受付嬢レベッカは落ちこぼれ冒険者を成り上がらせたい 倉名まさ @masa_kurana
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