第18話
広島から、恵里子の家族が遅れてやって来た。
ひとしきり、宮島への声がけが終えると、恵里子の夫と子供達が美紀に挨拶をする。
感謝の言葉を持って、美紀に頭を下げた。
葬儀の手配や親類縁者への連絡は、宮島の娘の恵里子がやってくれた。
町内の宮島と親しかった人々には美紀が連絡した。
葬儀は公園に隣接する町内会館でとり行なうことにした。
町内の住人達に愛された宮島へ最後の挨拶をしてもらう為…。
葬儀会場で、美紀は遠慮したが、強引に恵里子が喪主である自分の隣に、航太と美紀を座らせる。
町内会館までの会葬者の列は長く長く続いた。
「ミヤッチ…産まれてくる子供を抱いてくれないの?お風呂だって入れてくれるんでしょ?クソじじぃ…寂しいよ…悲しいよ…」
「ヒデちゃん…もっとヒデちゃんの話を聞きたかったよ…ヒデちゃんの事は皆大好きだったよ…ヒデちゃんは、皆のじいちゃんだったからね…」
ナッちゃんとまーちゃんも想い想いの言葉で、最後のお別れをした。
お棺に横たわる宮島の周りに、航太もシュウもアキもお花を添えた。
酒屋も浪人生もお別れに来た。
「宮島さん、有り難う」
「宮島さん、安らかに…」
葬儀が終わり、悲しさを堪え、宮島の遺品を美紀と、広島へ帰らずひとり残った恵里子が一緒に整理をしている。
「お父さん、いつも言ってたよ。航太くんと美紀ちゃんのおかげで生甲斐が出来たって。航太くんと美紀ちゃんは本当の家族に思ってるって…私は離れて暮してるでしょ?お父さんの事は心配していたけど、ひとりでもなんとかするって思ってたから、正直、美紀ちゃんと航太くんは私も嬉しかったんだ。ズルいけど、面倒みてくれて、安心していた…」
「そんな…じいちゃんには、本当に良くして貰ってました。航太の将来の為にって一緒に住まわせてくれて…」
美紀はまた、涙ぐむ…。
「お父さんは、最後に航太くんと美紀ちゃんと暮らせて幸せだったよ。航太くんは孫、美紀ちゃんは私の妹だよ。お父さんは美紀ちゃんと航太くんだったから、幸せに最後を迎えたんだよ。本当に有り難う…」
恵里子と相談しながら、形見をわける。
処分するものも、別にまとめた。
最後に箪笥を整理する。
恵里子が引き出しを開くと2通の手紙。
恵里子宛てと美紀宛ての2通の封筒…。
ふたりは自分宛ての手紙を先ず読み、読み終えたら、交換して、2通の手紙を読んだ…。
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