第17話


宮島の命を測る計器類の数値が下がった。


美紀は慌てて医師を呼ぶ。


「じいちゃん!じいちゃん!しっかり!美紀だよ!じいちゃん!!」


「ああーうあーあー!!」


航太も美紀も必死で叫ぶ。



宮島を揺さぶる。


「あーぃあゃう…あーあゃう!」


航太が必死で宮島を揺さぶり叫ぶ。


「じぃーうぁん!あぁーぢゃん!!」


航太の必死の叫び声が宮島へ届いたのか、宮島は薄っすら目を開け、すぐにまた閉じた…。


「じぃーうぁん!じぃーちゃん!!」


宮島からひとすじの涙が流れて、頬を伝わり枕に染みた…。


航太が初めて、じいちゃんと言えた、その言葉が聞こえたのか?


宮島は涙を流した…そして、宮島は息を引き取る…。


医師と看護師が来て、止まった計器を見て、更に呼吸と脈を見る。


「心肺停止確認!心肺停止蘇生器!」


看護師へ告げる。


「しばらく離れて下さい」


宮島の胸を開き、電流を流す…。


宮島の身体が波を打つも、意識は戻らず、計器類は無情にも、機械的な音さえ消し去り、病室は静寂に戻る。


医師は宮島の目を開き、ペンライトを持って確認する。


「瞳孔散大、確認…」


医師が時計で時間を見る。


「午前4時36分…ご臨終です…」


医師と看護師は、一礼をし、病室から出て行った…。


「わぁー…じいちゃん!」


航太と美紀が泣き崩れる…。  


病室には、いつまでもふたりの泣き声が続いていた…。



広島から、宮島の娘の恵里子が駆けつけて来た。


宮島の枕元で泣いているふたりをいたわり、宮島へ話し掛けた。


「お父さん…帰って来たよ。里江子だよ…」


包帯の巻かれている、頭と頬を撫ぜる。


撫ぜながら、ひとしきり、すすり泣く。


航太も美紀も涙が止まらない…。


里江子は、意を決し、ぐっと涙を堪え、美紀に話し掛ける。


「美紀ちゃん…だね?父から、良く話を聞いてます。いつも、父の世話を…面倒を見てくれて…最後まで見届けてくれて…本当に本当に有り難う…」


恵里子は言い終えるや否やまた泣き出した。


美紀も泣きながら答える。


「じいちゃんは、じいちゃんは本当に良くしてくれました」


航太も頷いた…。

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