第16話
その日は、天気予報が外れ、夕方から雨が降ってきた。
「航太、今日、ママは傘を持って行かなかったよね?傘を持ってお迎えに行こうか?」
航太に合羽を着せ、長靴を履かせて、一緒に駅まで迎えに行く。
辺りは薄暗くなり始めてきた。
宮島は、航太の手をしっかりと繋ぎふたり並んで歩き出す。
駅までの近道を歩く。
この道の先を右に曲がってしばらく行けば、駅の改札口に着く。
かなり、雨が強くなってきた。
もうすぐ曲がり角。
前方から、ヘッドライトの光が…。
左折のトラックが、一時停止もせずにいきなり曲がってきた。
慌てて航太を突き飛ばす…。
宮島はトラックに跳ねられた…。
跳ねたトラックは、急ブレーキをかけたが、そのまま走って逃げた…。
鈍い音に気付いた近所の人が119番へ連絡する…。
宮島は道に倒れ、辺りは血が雨に流れる…。
航太は、泣きじゃくる…。
宮島を揺すりながら、泣きじゃくる…。
そこに雨に打たれた美紀が小走りで帰って来る…。
「航太、どうしたの?あれ?じいちゃん?じいちゃん?」
遠くに救急車のサイレンの音が聞こえた…。
ずぶ濡れになりながら、美紀と航太は宮島にすがる…。
「じいちゃん、今、救急車が来るよ!しっかり!!」
美紀が叫ぶ…。
「うううー!」
航太も宮島を呼ぶ…。
宮島は意識が無かった…。
救急車へ美紀と航太も乗り込み、病気へ向かう…。
緊急搬送先の病院で集中治療を受ける。
美紀と航太は集中治療室の前で待つ。
長い時間が過ぎて、集中治療室のランプの色が変わる。
中から医師が現れて、どこかのテレビドラマて観たような言葉を医師から告げらる。
「処置、治療は終わりました。頭を強く打っています。意識はまだ戻っていません。後は、本人次第です」
雨はもう上がっていた。
美紀と航太は一旦帰宅し、美紀は広島の宮島の娘へ連絡をする。
航太と自分も着替え、必要な物を持って病院へ急いで戻った…。
まだ意識の戻らない宮島に、美紀は話し掛ける。
「じいちゃん、広島の恵里子さんに連絡したよ。急いで戻るって…じいちゃん、しっかりね!」
航太は椅子に座り、宮島を見ている。
宮島の枕元へ手を置いて、宮島を見ている。
蘇生器の機械的な音だけが病室に響く…。
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