第13話


宮島は、近所のカーシェアのパーキングから車を借りて、航太と美紀を乗せる。


「航太、今日はどこ行くと思う?」


航太は首を傾げて考えている。


「じいちゃんは、シーも良いけど今日はランドに行きたいなぁ…」


航太の顔がパッと明るくなる。


「ううーあうあ?」


「うん、一緒に行こう」


航太は両手を上げて喜んだ。


美紀もニコニコしている。


横浜から千葉までの道のり、航太は身体を横に振り、はしゃいでいる。


高速に乗れば小一時間で着いた。


駐車場は混んでいたが、すんなり停められた。


入場すると、航太は宮島の手を握り、アトラクションへ走り出す。


「航太、航太、待って待って、じいちゃん早く走れないよ〜」


それでも、なんとか航太に引かれ、列に並び、後から歩く美紀に手招きする。


「まだまだ、乗り物もいっぱいあるし、今日は夜まで沢山遊ぼう」


航太は頷き、笑いながら握った宮島の手をブラブラ動かす。


アトラクションで歓声を上げ、戻ると今度は美紀の手を取り、航太は次のアトラクションを指差した。


「あはは…次はあれか?次はママとふたりで乗って…じいちゃんは写真を撮るからね」


ふたりの姿を撮りながら、航太と美紀に宮島は手を降る。


終えて、航太は走り宮島の元へ来るなり、宮島の袖を引き、今乗っていたアトラクションを指差す。


「また乗るの?」


「じいちゃんと一緒にも乗りたいのよ」


美紀が航太の代わりに言った。


航太は宮島のカメラを美紀に押し付け、宮島を引っ張りまた、同じアトラクションへ乗った。


ポップコーンを食べたり、着ぐるみのキャラクターに抱っこされて、一緒に写真を撮ったり…航太とシュウとアキの3人お揃いのキャラクターの帽子もお土産に買った。


航太に今買った帽子を被せ、新たなアトラクションの列に並んでいても、航太と美紀と3人なら、待ち時間でさえ楽しい時間となった。


レストランで食事をし、レトロな列車で移動をし、アトラクションにまた並ぶ。


時間の経つのは早いもので、夜のパレードが始まった。


航太を肩車してパレードを眺める。


美紀は写真を撮ってくれてる。


「楽しかったね、また来ようね。今度は、シーにも行こうね…」


昼間、たくさん走り回り、疲れたのか、宮島のおんぶでウトウトしてる。


駐車場へ戻る途中、打ち上げ花火が花を開いた。


ドーン…ドーン…。


「キレイだね」


航太も起きて、見上げている。


「じいちゃん、今日はホントにありがとね…航太を初めて連れて来れたよ」


「礼を言うのは私の方だよ…楽しかった…美紀ちゃんと航太のおかげだよ」

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