第11話
朝起きると、味噌汁の良い香りが心地良い。
隣では航太がまだ睡っている。
「航太、起きなさい、学校に遅れるよ」
航太を起こして、一緒に顔を洗う…。
テーブルには3人分の朝食が並ぶ。
「いただきまーす」
「うううあーう」
朝食を食べながら宮島は航太に話す。
「今日、じいちゃんがカルタを作る材料を買ってくるから、夜に一緒に作ろうな」
航太が笑顔で頷く。
「今度、ママがお休みの日は、遊園地に行こうか?美紀ちゃん、いいかな?」
航太は笑顔で飛び上がり喜ぶ。
美紀も笑って頷いた。
航太を学校へ送り出し、美紀がパートへ出掛け、ひとりになった宮島は呟いた。
「あぁ…この幸せがいつまでも続いたら良いのにな…」
午前中、宮島はネットで調べて無地のオリジナルカルタを作るキットを買いに行き、千葉にある有名な遊園地のチケットも買って帰る。
昼食は美紀が用意してくれている。
冷めても食べられる様に、野菜と鶏肉の煮物を作ってくれた。
相変わらず美紀の料理はうまい。
美紀の料理を食べる様になって、宮島は少し太った。
給食を食べて、もうすぐ航太が帰って来る。
航太と子供達の為に、近くのスーパーでお菓子と飲み物を買い、アパートの宮島の部屋へ戻り、航太の帰りを待つ。
「うううあー!」
「おかえり!手を洗ってうがいして…」
まだ、身体より大きく見えるランドセルを航太の勉強机の上に置き、素直に手洗いうがいをする。
終わると宮島の元へ来て、袖を引いて公園に行こうと促す。
「あはは、行こう行こう」
航太は先に走って公園へ向かう。
「航太、転ぶなよ」
宮島はお菓子と飲み物の入った大袋をぶら下げて公園まで、ゆっくりと歩く。
いつものベンチに腰掛けると、航太は友達とボールを投げて遊んでいる。
「人が来たら、ボールはやめるんだよー」
子供達は片手をあげて頷いた。
宮島は缶コーヒーを飲みながら、公園を散歩している人々に挨拶をする。
「宮島さん、こんにちはー」
「こんにちは、良い天気ですね」
家事を終え、ナッちゃんがやって来る。
「ミヤッチ、何すまして挨拶してんだよ~」
「おぅ、ナッちゃん、こんにちは…ってすましてないぞ」
「ベンチで足なんか組んじゃって、缶コーヒー手に持ってさ」
「そりゃ普通だろ?」
「じじぃは背中丸めて渋茶を飲め!」
「あはは、今日もいきなり、ケンカを売るね」
「じゃあ、ポテチをあたしに食わせろ!腹減った…」
宮島はポテトチップスの袋を渡し、ナッちゃんに言う。
「ハイ、200万円…」
「出たー!ミヤッチのオヤジギャグ」
「昔は八百屋とかで店主が客に良く言ってたじゃん、忘れた?」
「じじぃ舐めるな、そんな昔話知らねぇよ、あたしゃまだ、ヤングだからね」
「今どき、ヤングって言わないだろ?ぷっぷぷ…」
「あはは、そりゃそうだ」
相変わらずナッちゃんは陽気で楽しい。
「あれ?まーちゃんは?」
ナッちゃんが宮島に訊く。
「まだ来てないよ。用足しでもしてるんじゃないの?」
まーちゃんが来た。
「まーちゃんはトイレで出してるから、まだ来てないってミヤッチが言ってたぜ」
「ヒデちゃん、ヒデーよ…って、今シャレ言っちゃった?って、あたしはウンチもオシッコもしないのよ…乙女だから…」
「あはは、おとめって歳じゃないでしよ?むしろ何やっても、おとがめ無しって感じ?」
「出たー。本日2発目のオヤジギャグ!」
「もぅーふたりして…。あたしにもポテチ頂戴!食い尽くしてやる!!」
「あはは…あはは…」
このふたりは、本当に楽しく面白い。
ふたりと話すと、時間経つのもあっと言う間であった。
「そう言えば、ミヤッチんちに美紀ちゃん住むようになってから、美紀ちゃんあまり迎えに来ないね?」
「私が航太を連れて帰るからね」
「ほら、例のキャラ弁、作り方教えて欲しいのになぁ」
「あぁ、今日言っとくよ」
ナッちゃんとまーちゃんが、美紀にキャラ弁の作り方を習いたいと伝え、遊園地のチケットも買ったことを、美紀に伝えた。
今度の土曜日にお弁当作りをやって、日曜日には遊園地へ行く。
そう美紀はスケジュールを決め、ふたりにグループラインで伝えた。
もちろんふたりとも、喜んで、子供達と行くことを美紀に伝えた。
土曜日になる。
ナッちゃん親子とまーちゃん親子が揃って来る。
「ハイ、これ…約束通りに私が食材を買うからね」
宮島は財布を取り出し、ついでに子供達のお菓子と子供達と大人達の飲み物を買ってきてと言い、多分なお金を美紀に渡す。
買い物の間、子供達と遊ぶからと、3人のママ達を追い出す様に買い物へ行かせた。
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