第7話



今日もこの公園は賑わっている。


どこからか公園へ行けば、おじいさんが悩みを聞いてくれる…って噂が立ち、宮島の元へ訪れる人が多くなったからだ。


男子大学生がいる。

女子中学生がいる。

若いOLがいる。


ただ話を聞き、頷いてまた、遊びに来なさいと答えるだけだが、それでも、順番を守って宮島に話をする。


話せば気が晴れるのか、皆笑顔になる。


そしてまた、宮島へ会いに来る。


いや、宮島の周りにいる人々へ会いに来ている。


「ミヤッチはすっかり皆んなの相談役だね?」


「あーあ…たまには私の悩みを誰か聞いてくれないかなぁ」


「え?ヒデちゃん悩み、あるの?」


「うん、私の近くに可愛くて若い女性が何人もいるんだけどね…」


「うんうん…」


「口が悪くてね、いつも私をいじめるんだよー」


「じじぃ!!遠回しにあたしの悪口言ったな!!」


「ぷっ…ね?…ってナッちゃん、ゴメンゴメン。ナッちゃんもまーちゃんも楽しい大好きな私の友達だよ。いつも、良くしてくれてありがとね」


「やだーヒデちゃん、もっと言って!」


「じじぃ…あたしに惚れたか?」


「あはは…あはは…」


宮島は腹を抱えて笑った…。


皆も一緒に笑った…。


子供達もつられて、一緒に笑った…。


宮島は心から思った。


皆と公園にいる…。


これこそ私の生き甲斐だなぁ…って…。


「航太、ママ来たよ!帰ろう!」


宮島は航太を呼んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る